講演情報

[P-050-B]信頼関係を導いた患者ニーズへの柔軟な対応と服薬支援の実践報告

佐藤 綾音1, 井上 奏2 (1.(株)共栄堂 共栄堂薬局光ケ丘店, 2.(株)共栄堂 ホーム調剤薬局)
【目的】服用困難の相談や症状の聴取から受診勧奨・相互作用の注意に繋げ、患者のアドヒアランスの向上と信頼関係を構築できた一例を報告する。
【患者背景】喫煙歴の無い70代男性。降圧薬を適正に継続している。X年8月咽頭痛によりA内科を受診するも症状改善せずB病院に紹介。同年12月潜在性結核感染症と診断され治療を開始した。患者ニーズの気付きと対応及び患者の反応:B病院処方のエンシュアH®の調剤時、患者の驚いた表情を把握したため製剤の特徴を丁寧に説明した。味単一調剤のため申送り、再処方の際に飲みづらさを確認。近隣薬局や卸に手配し異なる味を用意しメーカーHP上の飲み方の工夫を患者へ提供。服用への前向きな言葉を得て、その後実際に服用できていると確認した。以降、血圧推移や喉の症状、食事の状況等、より自発的な患者情報の聴取が可能となった。その後B病院においてイソニアジド錠の投与が開始された。6又は9カ月間の投与が推奨であるため薬を切らさないよう指導し、来局ごとに服薬順守を確認した。更にその後咽頭痛でA内科受診時、季節性の鼻炎症状を聴取し耳鼻科受診を勧奨した。実際に患者が耳鼻科の処方箋を持参し、定期薬との相互作用を確認し双方の継続を指導した結果、副作用等もなく症状が改善。患者から体調良好の申し出と同時に笑顔が見られた。現在も継続的に複数の医療機関の処方箋調剤を行いかかりつけとして役割を担っている。
【考察】味の嗜好・新規薬の意義や注意点・体調の変化など患者情報の的確な収集によりニーズに即した対応が実現したと考える。また、その結果を常に評価することで信頼関係の構築に繋がったと感じるため、患者情報を評価した上での指導が重要と改めて感じた。本件で実施できていない電話フォローアップ等も含めて、副作用や服用状況などの情報収集を怠らず、必要に応じて医療機関へ情報提供を行う等、患者の安心安全に更に貢献していきたい。