講演情報

[P-053-B]IRIS+BV療法における便秘の既往症があるがん患者に対する薬局薬剤師の服薬フォローにより治療継続となった一例

木本 絢子 ((株)メディカル一光 フラワー薬局左京店)
【背景】外来がん化学療法の継続は再発や進行を防ぐために非常に重要である。しかしながら副作用のつらさなどの理由から治療中断に繋がる例が少なくない。フラワー薬局左京店では、治療継続のため副作用の早期発見を中心に服薬フォロー(以下、フォロー)を実施してきた。今回、外来がん化学療法の副作用により治療中断を経験した患者が、転移後の治療において薬局薬剤師のフォローにより治療継続に繋がった症例を経験したので報告する。
【症例】70代女性、便秘の既往症がある。S字結腸癌手術後にXEROX療法を開始(Day1)。Day7のフォローでGrade2の悪心がみられるも症状軽減に伴いカペシタビン減量の上で3クール継続。Day60に重度の血小板減少発現に伴い入院となり、その後はカペシタビンが中止され入院治療を受けていた。Day120に肝臓と肺に転移がみられIRIS+BV療法開始となり、再び薬局を利用。Day123のフォローで、患者は服用に伴う副作用の下痢を懸念し、自己判断で酸化Mg錠の服用を中止したため便秘の悪化がみられた。イリノテカンの副作用による治療中断を避けるため、酸化Mg錠の服用と服用後排便なければセンノシド錠を追加服用するよう指導。Day124のフォローでは1日3回程度の水様便がみられるも、2クール目以降は軽度の便秘と下痢を繰り返すものの治療を中断することなく12クールの治療継続となった。
【考察】イリノテカンは80%が便中に排泄されるため、治療継続のためには便通コントロールが重要である。本症例では、便秘の既往症を抱える患者が補助療法を中断することでイリノテカンの副作用発現が懸念された。今回、下剤を飲むよう指導した薬局薬剤師のフォローが便秘の悪化を防ぎ、治療の継続に寄与した。この症例を通して、外来がん化学療法を受けている患者への薬剤にあったフォローは治療を継続する上で重要であると再認識した。