講演情報

[P-054-C]薬局薬剤師による五苓散の提案ががん患者の浮腫改善に寄与した1例

宮崎 源生 (ミアヘルサ(株) 日生薬局 若松河田駅前店)
【背景】がん薬物治療は入院から外来へと移行が進んでおり、薬局薬剤師にもがん薬物療法への高度な知識を持つことが求められている。また、がん治療の支持療法において漢方薬が使用されるケースも多く、漢方薬に関する十分な知識を持つことも必要とされていると考える。今回、薬局薬剤師ががん患者の支持療法として漢方薬を提案した症例を報告する。
【症例】80代女性、非小細胞肺癌Stage4の化学療法としてX年6月からオシメルチニブ80mg/日開始。その後コロナ感染、頻回の下痢症状あり入院。8月より40mg/日に減量して再開となった。10月初旬来局の際、左下肢の浮腫の訴えあり。オシメルチニブ再開後から症状の実感を認めたことを聴取。添付文書上、1~10%の割合で末梢性浮腫の報告があり、副作用の可能性を考慮した。CTCAEは、日常生活への支障はないことからGrade1と判断した。症状増悪時は受診すること、また長時間の座りっぱなしを避けること、就寝時の下肢挙上など生活上の指導を行い主治医にも報告した。10月下旬来局、浮腫症状改善なしと確認。浮腫に効果のある薬はないかとの相談があり、漢方薬にも興味があることを聞き取った。「がんサポーティブケアのための漢方活用ガイド」を参考に、五苓散を主治医に提案し処方された。11月来局時浮腫改善ありと確認。
【考察】がん薬物療法では治療を中断することなく継続することが大切であり、そのために様々な有害事象に対して適切な支持療法を行うことが重要である。漢方薬に関してはエビデンスレベルの高い報告は少ないのが現状だが、生活指導や他の対策を行ったうえでも症状の改善がない場合に適切と思われる漢方薬を提案することは検討に値すると考える。