講演情報

[P-056-B]疑義照会事例の変遷と傾向

新坂 彩 ((株)アイセイ薬局 第二営業ブロック 東東京支店)
【目的】薬局を取り巻く環境は常に変化しており、薬剤師の業務内容にも大きく変化がみられる。本研究では、薬剤師がその変化に対してどのように対応してきたのか、疑義照会に焦点をあて、その変遷と傾向について調査を行った。
【方法】東京都・埼玉県・茨城県エリアの12店舗において、2016年、2020年、2024年(期間は各年4月1日から6月30日まで)に実施された疑義照会について、集計と分析を行った。
【結果】疑義照会件数は、2016年が773件、2020年が552件、2024年が1520件であった。内容について「用法用量・処方日数・重複投与・副作用・禁忌・妊婦授乳婦・剤型・患者希望・処方漏れ・保険算定上の問題・処方箋の記載不備・在庫なし・その他」に分類した結果、2016年、2020年は「用法用量」が最も多かった(2016年:30%、2020年:24%)。2024年は「在庫なし」が49%で最も多く、2016年:0.5%、2020年:2.7%と比較すると割合は増加した。大きく推移した項目としては、「処方箋の記載不備」は0.4%→8.2%→0.1%、「患者希望」は1.6%→10.1%→0.7%と、2020年においてその割合が多かった。また、オンライン資格確認の情報を活用することにより疑義照会に繋がった事例は22件で、その内容は、重複投与、腎機能低下、転院時の薬剤誤り等であった。
【考察】調査を行った結果、疑義照会の内容に変遷が見られ、2020年はコロナ流行の状況下で、0410対応に関連した処方箋の記載事項に関する確認や、非対面診療における医師との意思疎通が困難な場合に、処方内容の確認が発生したと考えられる。2024年は、医薬品の供給不足の状況下にあることが大きく影響したと考えられる。薬局薬剤師に求められる役割が刻々と変化していく中で、薬剤師がそれに合わせて柔軟に順応できたことが示唆された。時代のニーズに合わせ、今後は昨今課題とされている医療DXにも対応した薬剤師の働き方について考えていく必要があると考える。