講演情報

[P-057-C]医薬品副作用データベース(JADER)を用いた抗がん剤によるざ瘡の発現リスク解析

佐久田 舜1, 前田 守2, 伊藤 将2, 月岡 良太2, 長谷川 佳孝2, 大石 美也2 (1.アイングループ (株)アインファーマシーズ アイン薬局 北3条店, 2.アイングループ (株)アインホールディングス)
【目的】患者QOLや服薬アドヒアランスを低下させるざ瘡は、一部の抗がん剤で発現リスクが示唆されている(Dreno B, et al. Clin Cosmet Investig Dermatol. 2021;14:623-632)。本研究では、PMDAが公開する医薬品副作用データベース(JADER)を用いた抗がん剤によるざ瘡の発現リスク及び好発時期を解析し、早期発見・早期対応に向けて薬局薬剤師が果たすべき役割を考察する。
【方法】2004年4月から2024年11月のJADERデータを用い、ざ瘡の被疑薬として報告された抗がん剤を対象薬剤とし、ざ瘡の発現との関係性を報告オッズ比(ROR)とFisher正確確率検定で評価し、ROR>1かつp<0.05の場合に関連性ありとした。また、各対象薬剤の投与開始からざ瘡発現までの日数を算出し、その分布に基づきワイブル形状パラメータ(β)を求め、発現パターンを推定した。(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0269)
【結果】被疑薬として報告された51種類の抗がん剤のうち、フルオロウラシル(5-FU、286件、ROR: 96.5)、セツキシマブ(CET、265件、234.5)、エルロチニブ(ERL、215件、201.4)を含む抗がん剤29種類がざ瘡の発現に有意な関連性ありと判断された。発現パターンを解析できた24種類のうち、5-FU(中央値: 25.5日、β: 0.63)、ERL (8日、0.74)等4種類は服用初期の発現率が高い初期故障型、CET (11日、1.05)等16種類は発現率が一定の偶発故障型、シスプラチン(11日、3.87)等4種類は服用長期化で発現率が上がる摩耗故障型と判断できた。
【考察】本研究より29種類の抗がん剤でざ瘡の発現と有意な関連性が示唆されたが、その発現パターンは初期故障型、偶発故障型、摩耗故障型と薬剤によって異なることも示唆された。薬局薬剤師は本研究で得られた知見も活用し、発現パターンと投与期間を合わせた服薬フォローアップ等を行い、ざ瘡の早期発見に努めることも重要と考える。