講演情報
[P-059-B]医薬品副作用データベース (JADER)を利用した抗がん剤による爪囲炎発現リスクに関する解析
○野中 美玖1, 前田 守2, 伊藤 将2, 月岡 良太2, 長谷川 佳孝2, 大石 美也2 (1.アイングループ (株)アインファーマシーズ アイン薬局 北大店, 2.アイングループ (株)アインホールディングス)
【目的】一部の分子標的薬をはじめとする抗がん剤によって引き起こされる可能性のある爪囲炎は、軽症でも抗がん剤の減量や中止を余儀なくされ、治療継続に影響を及ぼす可能性がある。そこで本研究では、医薬品副作用データベース(JADER)を活用して抗がん剤による爪囲炎の発現リスクおよび好発時期を解析し、爪囲炎の早期発見・対応において薬局薬剤師が果たすべき役割を考察した。
【方法】 2004年4月から2024年11月までのJADERデータを用いて、爪囲炎の被疑薬として報告された抗がん剤を対象に解析を行った。爪囲炎の発現との関連性を評価するため、報告オッズ比(ROR)とFisher正確確率検定を実施し、ROR>1かつp<0.05の場合に関連性ありと判断した。さらに、各対象薬剤について投与開始から爪囲炎発現までの日数を算出し、その分布からワイブル形状パラメータ(β)を求めることで発現パターンを推定した。(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0260)
【結果】被疑薬として報告された35種類の抗がん剤のうち、ラパチニブ(LPT、72件、ROR: 365.6)、エルロチニブ(ERL、68件、74.7)、カペシタビン(CAP、64件、44.3)を含む18種類が有意な関連性ありと判断された。そのうち15種類で発現パターンが解析でき、LPT(中央値: 46日、β: 1.25)、CAP(48.5日、1.27)が服用長期化により発現率が高くなる摩耗故障型、ERL(43日、0.99)を含む13種類は服用期間に関わらず発現率が一定の偶発故障型と判断された。
【考察】本研究より、18種類の抗がん剤で爪囲炎と有意な関連が示唆された。うち、LPT、CAPは長期化に伴ってフォローが必要な摩耗故障型、ERL等13種類は継続的フォローが必要な偶発故障型と考えられた。薬局薬剤師は、爪囲炎の早期発見・早期対応に向けてこれらの発現パターンの違いを理解し、それぞれの薬剤に応じた適切なタイミングで服薬指導やフォローアップを実施することが重要である。
【方法】 2004年4月から2024年11月までのJADERデータを用いて、爪囲炎の被疑薬として報告された抗がん剤を対象に解析を行った。爪囲炎の発現との関連性を評価するため、報告オッズ比(ROR)とFisher正確確率検定を実施し、ROR>1かつp<0.05の場合に関連性ありと判断した。さらに、各対象薬剤について投与開始から爪囲炎発現までの日数を算出し、その分布からワイブル形状パラメータ(β)を求めることで発現パターンを推定した。(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0260)
【結果】被疑薬として報告された35種類の抗がん剤のうち、ラパチニブ(LPT、72件、ROR: 365.6)、エルロチニブ(ERL、68件、74.7)、カペシタビン(CAP、64件、44.3)を含む18種類が有意な関連性ありと判断された。そのうち15種類で発現パターンが解析でき、LPT(中央値: 46日、β: 1.25)、CAP(48.5日、1.27)が服用長期化により発現率が高くなる摩耗故障型、ERL(43日、0.99)を含む13種類は服用期間に関わらず発現率が一定の偶発故障型と判断された。
【考察】本研究より、18種類の抗がん剤で爪囲炎と有意な関連が示唆された。うち、LPT、CAPは長期化に伴ってフォローが必要な摩耗故障型、ERL等13種類は継続的フォローが必要な偶発故障型と考えられた。薬局薬剤師は、爪囲炎の早期発見・早期対応に向けてこれらの発現パターンの違いを理解し、それぞれの薬剤に応じた適切なタイミングで服薬指導やフォローアップを実施することが重要である。
