講演情報
[P-063-C]がん薬物療法における電話フォロー時の第三者対応が示した課題~1症例からの考察~
○中嶋 孝枝1, 山本 理絵1, 橋本 欣代子1, 間渕 由梨香1, 牧野 理香1, 佐々木 直拓2, 都甲 海3, 辻村 行啓3, 平川 聡史4 (1.ファーマライズ(株)ファーマライズ薬局浜松店, 2.東海支社, 3.聖隷浜松病院 薬剤部, 4.聖隷浜松病院 支持医療科)
【背景】外来におけるがん薬物療法において副作用の発現は自宅環境下で起こることが多く、薬局薬剤師による電話フォローは安全管理の要となる。一方、フォロー対象者が本人でなく家族などの第三者である場合、情報の信頼性等に課題が生じる可能性がある。今回、第三者対応によって発熱性好中球減少症(FN)の発見が遅れた一例からみえた課題について報告する。
【症例】70代男性。胃がん術後補助化学療法(S-1+DTX)を実施。第2コースDay8、薬局薬剤師による電話フォロー時に本人の都合が悪く、妻が応対する事となった。妻からはBSスコア5から6に相当するGrade 2の下痢および食欲不振があり経過を見ているとの情報があったが、発熱の有無などの他症状についての聴取は困難であった。薬局薬剤師は限られた情報をもとに現状を処方元A医療機関へトレーシングレポート(TR)を送付した。しかしDay9に患者本人より病院へ体調不良の連絡が入り、S-1の中止指示が出された。Day10にはかかりつけ医受診で好中球減少が確認され、同日A病院再受診を経てFN疑いで緊急入院となった。
【考察】FNは一般に7日目から10日目に出現する副作用であり、下痢は粘膜障害のほか腸管免疫低下を示唆する重要な前兆である。今回、家族対応により発熱の有無、症状変化の経時的経過など副作用に関する聴取が不十分であったことで、リスク評価と対応の遅れにつながったと考える。今後は電話フォローに限らず、第三者の対応であっても「聞き取るべき項目」や「客観的評価」を可視化することで、情報の精度向上を図る体制が必要である。本症例から薬局薬剤師が限られた状況下でも患者全体を評価する視点を持つことの重要性と、重篤な副作用の早期発見のためにCTCAEをベースに適切な副作用の確認・評価ツールを検討し運用することで、副作用マネジメント体制の改善に寄与できると考えられる。
【症例】70代男性。胃がん術後補助化学療法(S-1+DTX)を実施。第2コースDay8、薬局薬剤師による電話フォロー時に本人の都合が悪く、妻が応対する事となった。妻からはBSスコア5から6に相当するGrade 2の下痢および食欲不振があり経過を見ているとの情報があったが、発熱の有無などの他症状についての聴取は困難であった。薬局薬剤師は限られた情報をもとに現状を処方元A医療機関へトレーシングレポート(TR)を送付した。しかしDay9に患者本人より病院へ体調不良の連絡が入り、S-1の中止指示が出された。Day10にはかかりつけ医受診で好中球減少が確認され、同日A病院再受診を経てFN疑いで緊急入院となった。
【考察】FNは一般に7日目から10日目に出現する副作用であり、下痢は粘膜障害のほか腸管免疫低下を示唆する重要な前兆である。今回、家族対応により発熱の有無、症状変化の経時的経過など副作用に関する聴取が不十分であったことで、リスク評価と対応の遅れにつながったと考える。今後は電話フォローに限らず、第三者の対応であっても「聞き取るべき項目」や「客観的評価」を可視化することで、情報の精度向上を図る体制が必要である。本症例から薬局薬剤師が限られた状況下でも患者全体を評価する視点を持つことの重要性と、重篤な副作用の早期発見のためにCTCAEをベースに適切な副作用の確認・評価ツールを検討し運用することで、副作用マネジメント体制の改善に寄与できると考えられる。
