講演情報

[P-064-A]ファストスルー調剤の可能性について

小平 邦彦1,2, 大橋 史広2 (1.とよま薬局, 2.ラッキーバッグ(株))
【目的】薬局の待ち時間が長いことは患者満足度の低下の一つの要因である。一連の調剤には一定の時間がかかり、特に小規模の薬局では患者自身の処方箋だけでなく他者の処方箋によっても待ち時間が左右され、不満を募らせる。本研究では既存のツールを使用したDXで待ち時間の短縮を模索した。
【方法】使用するツールとしては、スマートフォン向けお薬手帳アプリ「kakari®」もしくはkakari®以外でもクレジット決済機能付きのお薬手帳アプリであれば可能とした。
通常、保険薬局においては、処方箋受付(調剤前確認)から始まり、処方内容をレセコンに入力した後、調剤・処方薬交付・服薬指導した後に会計処理を行う。この流れでは入力と服薬指導が終わらないと会計が確定しない為、患者は少なくとも10分程度待つか、一時離れたうえで再来局が必要となる。そこで新たな手法としてファストスルー調剤を考案した。すなわち、処方箋受付(調剤前確認)の次に、過去薬歴を用いて服薬指導を行った後、患者は帰宅となる。その後に処方入力と調剤を実施し、会計はアプリを通じてオンラインクレジット決済として、薬を配達する。疑義照会や服薬指導後に追加で確認する事項がある場合は、アプリを利用したチャットやオンライン指導をすることとした。
【結果】検証を開始後、現在1件実施した。当該患者が前回来局した際に本手法を紹介し、希望があり実施した。処方箋受付から5分で終了し、その後の会計処理や郵送も滞りはなかった。
【考察】ファストスルー調剤の利用には、アプリを導入済みであることや、定期薬でありかつ残薬が数日分患者宅にあることが条件となり、また利用料が発生するなど、すべての患者に使えるものではない。しかし、薬局の滞在時間を短縮する他、投薬後も患者と連絡が取れるツールを利用することから、薬剤師が時間に追われ満足な服薬指導ができない場合に比べ、より慎重な判断や追加の指導ができる可能性がある。