講演情報

[P-067-A]睡眠導入剤服用中の外来患者に対する漸進的筋弛緩法の指導が睡眠に与える影響

山田 大夢1,2,3, 久保 亘2, 芹澤 圭太3 (1.(株)なの花北海道 なの花薬局昭和店, 2.労災前店, 3.サロマ店)
【目的】不眠を訴える人は歳を重ねるごとに多くなり、中途覚醒と早期覚醒が顕著に増加するという報告がある。睡眠導入剤は不眠に対して確かな効果を示すが、高齢者では転倒や骨折のリスクがある。一方で非薬物療法にも効果があることが示されている。漸進的筋弛緩法(PMR)は睡眠に対する認知行動療法でも標準的に実施されるリラクセーション法で、在宅患者や入院患者に効果があることが示されている。そこで、保険薬局の外来患者に対してPMRの指導を行い、不眠に対する効果を検証することで、PMRの指導方法を確立し、不眠の改善や睡眠導入剤の減薬などに寄与することを目的とする。
【方法】睡眠導入剤を定期的に処方されている60歳以上の外来患者を対象として、アテネ不眠尺度(AIS)に基づいたアンケートを実施し、LINEを登録してもらった。その後、PMRの動画をLINEで3か月毎日配信して、開始後1か月と3か月で初回と同様のアンケートを実施することで睡眠状況の変化を調査した。
【結果】同意を得られた3人のうち1人が3か月後のアンケートまで回答した。AISのスコアは3点→3点→5点と変化し、項目別では、入眠、中途覚醒、早朝覚醒がそれぞれ1点アップし、日中の眠気が1点ダウンした。具体的には、入眠するまでにかかる時間に変化はなかったが、入眠時間が1時間早まった。起床時間に変化はなかった。
【考察】3か月経過後、AISのスコアは悪化したが、日中の眠気が改善した。PMRの実施が習慣づいたことで入眠が早まり、睡眠時間が伸びたことで日中の眠気が改善したと考えられる。不眠症は“不眠そのものだけではなく「日中に不調が出現する」ことが問題”とされているが、PMRの実施によって日中の眠気による不調が改善した可能性がある。今後症例数を増やし、エプワース睡眠尺度などを用いることで、日中の眠気やふらつきによる転倒のリスクを評価できる可能性がある。