講演情報

[P-070-A]薬局DX推進に向けたデジタルツールの有用性評価

菅野 敬一1, 伊藤 将2, 月岡 良太2, 長谷川 佳孝2, 大石 美也2 (1.アイングループ (株)アインファーマシーズ アイン薬局 胆沢店, 2.アイングループ (株)アインホールディングス)
【目的】薬局業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)推進が求められる中、ソーシャルネットワーキングサービス等のデジタルツール(DT)活用も注目されている。特に、来局間のフォローアップ(FU)や多職種連携での有用性が期待されるが、その実態は不明確である。本研究では、薬局DXの効果的な推進に向けてDTの有用性を評価し、その効果的な活用法に関する知見を得ることを目的とした。
【方法】当社グループが東北4県で運営する保険薬局63店舗の薬剤師を対象に、2025年4月16日から5月16日にかけて、社内イントラネットを用いてアンケート調査を実施した。調査内容は、FUおよび多職種連携でのDT使用経験、使用経験者に対するDTの有用性、利点と課題(各7項目、7段階評価)とし、これらの関連性をCS分析で評価した。また、全回答者からDTに対する利点・課題などを自由記述形式で収集し、質的に分析した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0288)。
【結果】重複回答を許容した有効回答24名のうち、DT使用経験者のFU、多職種連携での使用経験は、ともに9名(37.5%)であった。CS分析から、DT使用経験者が感じる有用性に関係する利点として「画像・動画の共有」「通信記録の自動保存」等が確認された。また、未使用者からの自由記述回答では、「ITリテラシー」「セキュリティーの懸念」などの課題が主に挙げられた。
【考察】これらの結果から、DTの有用性には情報共有の正確性や記録の自動化が大きく関係することが示唆された。薬局DXを効果的に推進するためには、未使用者が課題と感じるITリテラシーの向上に取り組むとともに、セキュリティー強化などの技術的課題を克服することが重要である。これらの取り組みを通じてDTの普及を図ることで、患者や多職種間における情報共有の質的向上が期待され、ひいては薬局業務の効率化と質の向上につながる可能性が考えられる。