講演情報

[P-072-C]質問自動送信型アプリを用いた患者フォローアップが薬局薬剤師にあたえる影響

石川 典子1, 嶋田 努2, 山下 千佳子3, 安田 圭子1, 山下 恵4, 長基 健人3, 岡島 正3, 橋本 昌子1, 沖崎 歩4, 工藤 知也4, 中尾 豊4, 崔 吉道2, 玉井 郁巳5 (1.(株)スパーテル, 2.金沢大学附属病院, 3.(株)コメヤ薬局, 4.(株)カケハシ, 5.金沢大学医薬保健研究域薬学系)
【目的】2020年9月に改正薬機法が施行され継続的な患者フォローアップ(患者FU)が注目される中、繁忙な薬局日常業務においても実行可能な情報通信ツールが期待されている。我々は、調剤後の患者状況を把握するために患者への定期的な質問送信および患者からの回答に基づくアラート抽出が可能な質問自動送信型患者FUアプリ「Pocket Musubi」®(PM)の導入により、薬剤師の患者FU業務にどのような変化が生じるかを検証する。
【方法】PM導入前と後(1年後)に対象薬局の薬剤師を対象にアンケート調査を実施した。調査項目は患者FUの実施有無や実施回数、患者FUに費やす時間、業務負担感、患者とのコミュニケーション困難感、満足度、仕事観、業務貢献度など多岐にわたりPM利用群と非利用群の回答を比較対照した。
【結果】得られた回答数は導入前103名、導入後85名であった。アンケートを実施した全薬剤師では患者FU実施率が導入前29%から導入後55%に上昇した。PM利用群の約47%がフォロー頻度の増加を実感する一方、非利用群では約12%の増加にとどまった。PM利用群の患者FU業務負担感は50%から40%に軽減し、患者とのコミュニケーション困難感は77%から62%へと低下した。さらに83%がPMに「満足」を示し、半数以上が業務貢献度の向上を実感した一方、仕事の楽しさ、やりがいに向上感を示した薬剤師は20%以下であった。
【考察】PMは患者FUの量的・質的向上やコミュニケーション円滑化に有効であることが示された。一方で、患者のITリテラシーや高齢者に対応できるデザインの改善、質問テンプレートやアラート機能の柔軟化など、現場から寄せられた要望に応える事でさらなる活用促進が期待される。今後、薬剤師のPM利用向上を計ると共に、仕事の楽しさ、やりがいも向上させる取り組み方の検討を課題とする。