講演情報
[P-078-C]在宅ドブタミン持続注射療法を支援した末期心不全の1症例
○後藤 結実子, 矢吹 洸二, 多田 貴彦 ((株)なの花九州 永冨調剤薬局)
【背景】高齢化に伴い心不全患者が増加し、在宅療養と看取り支援が課題となっている。末期心不全では呼吸困難や浮腫の進行、血行動態の不安定性など症状管理が多岐にわたるため、特に強心剤の持続投与を要する症例では、高度な専門知識と多職種連携が不可欠である。末期心不全患者に在宅で薬学的支援を行った1症例を通じ、患者と家族の療養生活を支えた実際の対応を報告する。
【症例】80代男性。人工弁置換術後に永続性心房細動を発症、僧帽弁破壊が進行し、年齢的に手術不適応の重度僧帽弁逆流症となった。ドブタミン依存状態の末期心不全で、急変時はDNAR意思を持つ。妻と長女が介護を担当していたが、心理的負担があり、多職種チームで支援を行った。ドブタミン投与の在宅移行時には投与ルートや用量再設計提案を行った。持続投与ポンプCADD-Solis®に対応したカートリッジを貸与し、薬液ロスや交換頻度を考慮した容量を提案。訪問看護師と共同で流量調整や残量管理を行うことで治療継続が可能となった。また、デバイスの警告音発生時の対処方法を指導し、介護者の不安軽減に努めた。服薬管理では、帯状疱疹後神経痛へのプレガバリン投与による心不全、肺水腫の増悪に注意し、心不全ポイントを情報共有して症状に応じた用量提案を実施。排便時怒責感の心負担を考慮し緩下剤の用量提案を行った。嚥下困難時には錠剤から細粒への変更や錠剤粉砕による服薬支援を行った。終末期に向けて医師と協議し麻薬や鎮静剤を備蓄、看取り時には口内炎に対し苦痛除去のため口腔用軟膏の緊急処方に対応し、きめ細やかな支援を実現した。
【考察】在宅療養における強心剤持続投与患者への対応は、薬剤師の専門的介入と多職種連携が不可欠である。投与設計や服薬管理、情報共有を通じて療養環境を整えることで、患者と家族が安心して65日間自宅療養を継続できた。本症例は、在宅心不全ケアにおける薬剤師の役割と可能性を示すものである。
【症例】80代男性。人工弁置換術後に永続性心房細動を発症、僧帽弁破壊が進行し、年齢的に手術不適応の重度僧帽弁逆流症となった。ドブタミン依存状態の末期心不全で、急変時はDNAR意思を持つ。妻と長女が介護を担当していたが、心理的負担があり、多職種チームで支援を行った。ドブタミン投与の在宅移行時には投与ルートや用量再設計提案を行った。持続投与ポンプCADD-Solis®に対応したカートリッジを貸与し、薬液ロスや交換頻度を考慮した容量を提案。訪問看護師と共同で流量調整や残量管理を行うことで治療継続が可能となった。また、デバイスの警告音発生時の対処方法を指導し、介護者の不安軽減に努めた。服薬管理では、帯状疱疹後神経痛へのプレガバリン投与による心不全、肺水腫の増悪に注意し、心不全ポイントを情報共有して症状に応じた用量提案を実施。排便時怒責感の心負担を考慮し緩下剤の用量提案を行った。嚥下困難時には錠剤から細粒への変更や錠剤粉砕による服薬支援を行った。終末期に向けて医師と協議し麻薬や鎮静剤を備蓄、看取り時には口内炎に対し苦痛除去のため口腔用軟膏の緊急処方に対応し、きめ細やかな支援を実現した。
【考察】在宅療養における強心剤持続投与患者への対応は、薬剤師の専門的介入と多職種連携が不可欠である。投与設計や服薬管理、情報共有を通じて療養環境を整えることで、患者と家族が安心して65日間自宅療養を継続できた。本症例は、在宅心不全ケアにおける薬剤師の役割と可能性を示すものである。
