講演情報

[P-086-B]小児の慢性湿疹における症状改善と保護者の疾患に対する理解度との相関についての調査研究

長田 一郎1,2, 小西 優1,2, 谷口 将済2, 清水 隆也2 (1.フラワー薬局玉城店, 2.(株)メディカル一光)
【目的】小児における慢性的な湿疹は従来、成長と共に軽快するとされていた。しかしながら、アトピー性皮膚炎を含む皮膚疾患は軽快と悪化を繰り返す例が多く、近年では年齢の増加に従って中等症・重症患者の占める割合が増えている。特に乳幼児期の発症が多い皮膚疾患においては長期的に継続した治療が必要であるとされているが、患者や保護者の生活環境に合わせた指導ができているかは不明である。本研究では「小児の慢性湿疹における症状の改善」に「保護者の病態・治療法への理解度」が影響しているかを明らかにすることを目的として小児患者の保護者に対してアンケート調査を実施し、小児患者の慢性湿疹の治癒状況と相関しているかを評価した。
【方法】当該薬局にて3ヶ月以上継続して治療中、あるいは既に治療が完了した小児患者の保護者に対してアンケートを実施し、小児の慢性湿疹の病態・治療法への現時点での理解度を調査した。アンケートの内容は「薬の使用について」「副作用について」および「日々の生活や治療について」を問うものとし、原則「知っている(実践できている)」「なんとなく知っている(大体実践できている)」「どちらともいえない」「知らない(実践できていない)」の4段階で評価して点数化(0~3点)した。また、対象患者の治療効果に関しては、3ヶ月以上の期間にわたって処方された薬剤について、治療開始時とアンケート実施時における2点で比較して薬剤の使用量が減少していたかを、過去にさかのぼって観察することで評価した。さらに、保護者の理解度との間に相関関係がみられるかをピアソンの相関係数検定により解析した。
【結果】本研究の結果から、保護者の疾患に対する理解度の高さと、小児患者の慢性湿疹の治療効果に相関がみられた。
【考察】今後、小児の慢性疾患の治療効果を高めることを期待して、保護者に対する服薬指導を充実させる必要があると考えられた。