講演情報

[P-087-C]ジクロフェナク経皮吸収製剤の適応拡大が保険薬局の処方箋応需枚数に及ぼす影響

中野 友旭1, 前田 守2, 月岡 良太2, 長谷川 佳孝2, 大石 美也2 (1.アイングループ (株)アインファーマシーズ アイン薬局 原町店, 2.アイングループ (株)アインホールディングス)
【目的】ジクロフェナク経皮吸収製剤(Dic-TDDS)は2021年5月にがん性疼痛治療薬として上市され、翌年6月20日には非がん性疼痛にも適応拡大された。その剤形と鎮痛効果から、患者が局所製剤の消炎鎮痛貼付薬と誤解する恐れが懸念されるため、薬局薬剤師にはDic-TDDSの適正使用にむけた患者啓発が求められる。本研究では、Dic-TDDSの適応拡大が保険薬局の処方箋応需枚数に与える影響を調査し、薬局薬剤師が果たすべき役割について考察した。
【方法】2018年1月~2024年12月に当グループが運営する保険薬局626店舗の匿名加工済みレセプトデータを用い、応需した全処方箋に対するNSAIDs記載処方箋の割合(A)、NSAIDs記載処方箋に対するDic記載処方箋の割合(B)、Dic記載処方箋に対するDic-TDDS記載処方箋の割合(C)を月次で集計した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0277) 。
【結果】調査期間において、(A)は21.8%から32.0%まで増加したが、(B)には大きな変化がなく、5.0%~6.0%の範囲で安定した。(C)は、Dic-TDDSが上市した2021年5月は0.02%であったが、2022年6月の適応拡大から急激に増加し、2024年12月には21.7%となった。なお、2024年12月におけるDic-TDDS処方患者の年代別割合は、10歳代が0.3%、20歳代が0.9%、30歳代が2.2%、40歳代が6.5%、50歳代が13.7%、60歳代が16.6%、70歳代が28.5%、80歳代が25.4%、90歳代が5.7%、100歳代が0.2%であった。
【考察】本研究からDic-TDDSを含む処方箋は非がん性疼痛への適応拡大後に急激に増加しており、特に70歳代、80歳代の割合が多い傾向が見られた。したがって、薬局薬剤師は今後もDic-TDDS処方の増加することを想定し、局所製剤との違いを丁寧に説明するなど、適正使用の推進に積極的に貢献することが重要と考える。