講演情報

[P-088-A]継続的なチルゼパチド皮下注(マンジャロ皮下注®)の使用と併用薬の減量の関係についての調査研究

服部 司, 西岡 慧, 谷口 将済 ((株)メディカル一光)
【目的】GIP受容体/GLP受容体のデュアルアゴニストであるチルゼパチド皮下注(以下、マンジャロ皮下注®)は週1回投与の注射型医薬品であり、わが国においては2023年に2型糖尿病の治療薬として承認された。チルゼパジドは血糖降下作用だけでなく脂質分解作用や体重減少作用を有し、アメリカをはじめとする複数の国で肥満症の治療薬として正式に承認され、体重管理を目的とした使用でも注目されている。また、収縮期・拡張期血圧を容量依存的に低下させ、心血管イベントと腎イベントのリスクを低下させる等の報告もあり、様々な効果を期待されている医薬品であるといえる。しかしながら、実際にマンジャロ皮下注®の使用による副次的効果が、実服用中の薬剤の減量にまで影響を及ぼしているかどうかは、いまだ詳細に検討されてはいない。そこで本研究では、マンジャロ皮下注®の継続的使用により、使用患者の薬剤量の減少に影響を及ぼしているかを明らかにすることを目的として調査を行った。
【方法】2023年3月1日から2024年6月30日の期間で、3ヶ月以上継続してマンジャロ皮下注®を使用している患者を対象として薬歴データを抽出し、対象患者のマンジャロ皮下注®使用開始前の総併用薬数と3ヶ月の継続使用後の総併用薬数を比較した。さらに、全ての対象患者にアンケート調査を行い、「継続使用により薬剤の減少に至った患者に意識的な変化があったかどうかを評価した。
【結果】両側t検定による解析の結果、対象患者のマンジャロ皮下注®使用開始前の総併用薬数と、3ヶ月の継続使用後の総併用薬数とに有意な差がみられた。また、マンジャロ皮下注®使用患者の治療に対する意識についても改善している傾向がみられた。
【考察】本研究の成果により、マンジャロ皮下注®の副次的効果がさらに注目され、患者の生活環境を考慮した治療法の有効活用につながることを期待したい。