講演情報
[P-089-B]がん化学療法中に認知機能が低下し服薬サポートに難渋した1例
○須貝 和仁1, 吉田 宗広2, 藤田 未来也2, 笹山 潔2, 長尾 裕悟3, 田中 友樹1, 佐々木 直拓1 (1.ファーマライズ(株)金沢ファーマライズ薬局, 2.浅ノ川総合病院 薬剤部, 3.ファーマライズ(株)ほくと薬局)
【はじめに】膵がん患者に対し経口抗がん剤併用療法を開始したが、治療中に認知機能が急速に低下し、服薬支援が必要となった症例を報告する。
【症例】70代女性。202X年5月に膵臓がんと診断され、GEM+S-1療法を開始した。治療3クール目頃から認知機能低下が疑われる兆候がみられ、6クール目には服薬の有無を短期間で忘れてしまう場面が頻発。服薬ミスや服薬ダイアリーの紛失も起こるようになったため、薬局では日付入りの一包化や、毎食後に電話で服薬確認を行う対応をとった。さらに、複数回にわたりトレーシングレポート(以下TR)を提出し、病院薬剤師とも電話で情報共有を行ったものの、服薬状況の改善は困難であった。患者は息子夫婦と同居していたが、本人の希望により家族からの支援を受けられない状況だった。同年10月にGEM+nabPTX療法へ切り替えるため入院。退院時には約1ヶ月分の内服薬が処方されていたが、患者は退院後、点滴治療のため週1回外来受診し、その際の内服制吐剤の処方箋のみ薬局へ持参。薬局側は退院処方の存在を把握しないまま調剤した。翌月、2クール目の治療時に退院処方と同内容の定期内服薬の処方箋を持参したため、薬局は服薬状況に疑問を抱き、処方当日の夕方に患者宅を訪問。退院処方で27日分あった薬のうち、およそ12日分の服薬忘れが判明し、病院薬剤師に即時連絡するとともに、外来宛てにTRを提出した。服薬管理の継続が困難と考えられた矢先、患者は再入院し、治療方針が積極的治療から療養に移行された。
【考察】認知機能が低下した患者に対する調剤やTR活用法、家族の支援が得られない状況での対応が課題となった。退院処方の情報共有不足も問題となり、薬局と病院間の連携強化が必要である。
【結語】多職種での連携を強化し、患者と家族に応じた柔軟な支援体制を構築することが求められる。薬局と病院の密な連携により、切れ目のない支援が期待される。
【症例】70代女性。202X年5月に膵臓がんと診断され、GEM+S-1療法を開始した。治療3クール目頃から認知機能低下が疑われる兆候がみられ、6クール目には服薬の有無を短期間で忘れてしまう場面が頻発。服薬ミスや服薬ダイアリーの紛失も起こるようになったため、薬局では日付入りの一包化や、毎食後に電話で服薬確認を行う対応をとった。さらに、複数回にわたりトレーシングレポート(以下TR)を提出し、病院薬剤師とも電話で情報共有を行ったものの、服薬状況の改善は困難であった。患者は息子夫婦と同居していたが、本人の希望により家族からの支援を受けられない状況だった。同年10月にGEM+nabPTX療法へ切り替えるため入院。退院時には約1ヶ月分の内服薬が処方されていたが、患者は退院後、点滴治療のため週1回外来受診し、その際の内服制吐剤の処方箋のみ薬局へ持参。薬局側は退院処方の存在を把握しないまま調剤した。翌月、2クール目の治療時に退院処方と同内容の定期内服薬の処方箋を持参したため、薬局は服薬状況に疑問を抱き、処方当日の夕方に患者宅を訪問。退院処方で27日分あった薬のうち、およそ12日分の服薬忘れが判明し、病院薬剤師に即時連絡するとともに、外来宛てにTRを提出した。服薬管理の継続が困難と考えられた矢先、患者は再入院し、治療方針が積極的治療から療養に移行された。
【考察】認知機能が低下した患者に対する調剤やTR活用法、家族の支援が得られない状況での対応が課題となった。退院処方の情報共有不足も問題となり、薬局と病院間の連携強化が必要である。
【結語】多職種での連携を強化し、患者と家族に応じた柔軟な支援体制を構築することが求められる。薬局と病院の密な連携により、切れ目のない支援が期待される。
