講演情報

[P-091-A]Googleドライブで支える患者主体の在宅支援:管理栄養士と多職種連携の実践事例

鳩原 安里, 壬生 美咲, 鈴木 すみれ, 水野 芳宏 ((株)なの花東北 事業部)
【目的】在宅患者に関する情報共有ツールとして、これまで医療者間での利用を目的としたMCS(メディカルケアステーション)が主に活用されてきた。しかし患者本人が情報を発信・共有する仕組みは少なく、訪問時の情報収集に限定されるという課題があった。特に外来受診もしている在宅患者では、血液検査結果や次回受診日などの情報は患者本人からの提供に依存する。加えて、栄養指導に必要な直近の食事摂取状況などの情報は訪問しないと得られず、対応の先延ばしや内容が不十分であったり、対応までのタイムラグが生じたりすることもあった。そこで本事例では、患者本人が、Googleドライブを活用し直近の情報の共有することで、最新の情報を訪問日に依存せず確認・共有できる仕組みの構築とその周知を目的とする。
【方法】Googleドライブ上に個人情報保護のためアクセス制限を設けた共有フォルダを作成し、患者・訪問看護ステーション・管理栄養士をユーザーとした。 そこに患者がタブレット端末から血液検査結果や1週間の食事を摂取量 などのコメントを付けた写真で記録・共有した。
【結果・考察】訪問日に関係なく患者の最新の血液データや食事摂取状況を把握することが可能となったため、これをもとに、たんぱく質や塩分の摂取状況、エネルギー過不足などの栄養評価を行い、対面指導の質の向上につながった。加えて、事前に十分な情報を得ることで、血液検査結果に合わせた食事指導やメニュー提案など1回あたりの指導内容を充実させることができた。さらに、訪問看護ステーションのスタッフにもクラウド上で栄養指導に使用した資料を共有することで指導内容が明確に伝わり、共通の認識をもって対応することが可能となった。今後、患者と医療者の双方が情報を発信・共有できるツールとしての活用が進めば、多職種連携の強化、医療の質の向上、患者満足度の向上が期待されると推察する。