講演情報

[P-094-A]服薬管理が難しい認知症患者への介入でコンプライアンスが改善した症例の紹介

大川 誠也1, 吉田 沙衿1, 木村 匡宏2 (1.(株)ファルマ 黒石薬局, 2.(株)ファルマ 藤代薬局)
【目的】認知症患者では、飲み忘れなどの問題が多く、特に独居高齢者では第三者の介入が困難で改善機会を得にくい。今回、薬剤師が服薬管理に関与したことで改善がみられた独居認知症患者の症例を報告する。
【対象および方法】80 歳代女性、独居、要介護度2。20XX年に認知症と診断。近隣に長男夫婦がおり買い物の支援はあるが、服薬管理には関与せず。週2回のデイサービスを利用。1週間分の薬剤をセットするお薬カレンダーを使用していたが、飲み忘れが頻発していた。薬のセットは長男の妻が当初担当。服用したかどうかの確認は行わず、飲み忘れた分はカレンダーにそのままとし、残薬が毎回発生していた。日常生活自立度は2a、会話は可能で日付、曜日の理解はあり。処方は朝食後のみ※患者本人、家族から発表への同意は取得済み
【結果】月間カレンダーを追加し、服薬したら付箋を月間カレンダーに貼ることで、服用したことを本人に対して視覚化。自分も服薬管理に参加しているという自覚を持ってもらうことが出来た。さらに薬剤師の定期介入により家族も服用したかどうか声掛けを行うようになり、飲み忘れが著明に減少した。
【考察】認知症患者の服薬支援は、残存能力や支援体制に応じた柔軟な対応が求められる。薬剤師が多様な支援手法を理解し関与することで、個別に適した支援が可能となる。今後増加する独居認知症患者に対し、薬剤師の積極的な介入が重要であり、情報共有と連携体制の構築が服薬管理の質向上に寄与すると考えられた。