講演情報

[P-105-C]糖尿病合併乳がん患者へのカピバセルチブ導入初期に生じた下痢について専門医療機関連携薬局として多拠点連携を経験した1例

三吉 由佳1, 佐藤 裕介2, 菅 裕亮3, 松下 隼人4, 藤谷 修一2 (1.(株)なの花西日本 なの花薬局平原店, 2.(株)なの花西日本 調剤事業部, 3.(株)なの花北海道 なの花薬局若草店/メディカルシステムネットワーク学術部, 4.(株)なの花九州 さくら薬局和白店)
【目的】カピバセルチブは重度の下痢・高血糖等が特定されたリスクとされており、副作用の早期発見には服薬フォローが重要となる。カピバセルチブ投与開始となった糖尿病合併乳がん患者において、服薬フォローが副作用(下痢・高血糖)の早期発見に繋がり、ケアのため多拠点連携を行ったことで重篤化を回避した1例を報告する。
【介入】60歳代女性、再発乳癌3次治療としてカピバセルチブ+フルベストラント療法が開始となった。1コース目のDay6より下痢Grade1が出現し支持療法薬で経過観察された。2コース目Day1フォローにて、下痢Grade2、食欲不振Grade1が持続し、患者から止瀉薬が効果不十分であり手持ちが無くなったことを聴取した。処方医に相談の上、Day1は一般用医薬品の止瀉薬で一時対応し、Day2に糖尿病治療医へ受診となり同行することとした。処方医からはカピバセルチブ継続と支持療法強化の依頼があり、糖尿病治療医へ状況と依頼内容を電話と服薬情報提供書で提供した。Day2訪問時、患者は下痢Grade2、食欲不振Grade3、発熱、嘔吐と緊急性の高い状態であった。脱水、感染症、高血糖、乳酸アシドーシス等を疑い、糖尿病治療薬およびカピバセルチブを中止し糖尿病治療医を受診した。結果、脱水と感染症の診断となり1週間の入院加療となった。回復後、1段階減量で再開したが下痢Grade3により忍容性低く薬剤変更となった。4次治療は同じく重度の下痢に注意が必要なアベマシクリブが選択された。患者の治療への不安、ADL、血液検査、生活環境等を考慮し、1段階減量からの開始を提案し採択された。その後、下痢の副作用なく治療継続となった。
【考察】専門医療機関連携薬局が、がん拠点病院とかかりつけ医の連携の橋掛け役となることで、副作用への迅速な対応とシームレスな連携に貢献できたと考える。画一的な服薬フォローではなく、患者の投与薬や特性を意識した服薬フォローを実施することが重要であると考える。