講演情報

[P-106-A]調剤薬局における緩和ケアに関わる在宅医療の立ち上げ~無菌調剤及びPCAポンプ操作のマニュアル導入への検討~

橋場 颯 ((株)アルプ)
【目的】社会の高齢化に伴い癌患者が増加し、在宅医療の需要が高まっている。当薬局でも在宅医療を立ち上げたが、在庫管理や医療スタッフとの連携、患者の薬の管理、職員の体制など多くの課題があった。これらは、事前準備により対応可能であったり、すでに解決できた問題であった。しかし無菌調剤およびPCAポンプ操作については、店舗職員の異動や他店舗からの応援薬剤師など不慣れな職員が対応する可能性があるため安全かつ安定した業務遂行を継続することが難しいと考えた。そこで社内職員向けに無菌調剤及びPCAポンプ操作のマニュアルを作成し、調剤業務の標準化と質の確保を図ることを目的とした。
【方法】当薬局においてクリーンベンチの操作、無菌調剤、及びPCAポンプの設定についてそれぞれマニュアルを作成した。それを元に、これらの調剤未経験の入社1年目、2年目の薬剤師6名が調剤を行った。
【結果】未経験薬剤師はマニュアルを見ることで、クリーンベンチの設定操作は問題無く行うことが出来た。しかし無菌調剤においてシリンジ内に薬品を測り取った際、空気抜きを行っていなかった。PCAポンプの設定においては、一通り問題なく行うことができたがレスキューの設定に困惑があった。また、調剤後の輸液の写真などがあると分かりやすいとの声もあった。
【考察】今回のマニュアル作成を通じ、クリーンベンチ操作、PCAポンプ操作はマニュアルで対応可能であると分かった。一方、無菌調剤においては空気抜きなど細かな操作手順の抜けが発生したことからマニュアルに更なる改善が必要であるとわかった。特に普段、無菌調剤を行わない薬剤師でも理解できるよう細かな操作においては、操作手順の細分化や写真を更に追加したマニュアル作成が必要と考える。今後はマニュアルの完成度を更に高めることで調剤経験の有無に関わらず、誰でも一定の質と安全性を確保した調剤を行える体制の確立を目指す。