講演情報
[P-109-A]無菌室を利用した終末期在宅における活動報告
○濱田 孝和 (ウエルシア薬局(株) マーケットタウン御坂店)
【目的】高齢化と在宅緩和ケア需要の増加を背景に、薬局での無菌調剤体制の整備と運用が求められているが、ウエルシア薬局においても無菌製剤処理加算算定店舗は全国で13店舗と限定的である(2025年4月30日時点)。また2024年度診療報酬改定で新設された在宅薬学総合体制加算2(以下加算2)を取得し活動している薬局の事例報告も少ない。本発表では加算2取得薬局における無菌調剤を活用した在宅緩和ケア活動と薬剤師の専門的介入の意義を、ALS終末期患者への対応事例から報告する。
【方法】近隣有料老人ホーム入所のALS患者(80代女性、A氏)を対象に、X年Y月より多職種連携(医師・看護師・薬剤師)による訪問診療を開始した。薬剤師は疼痛評価、持続皮下注設計、レスキュー薬運用指導を主導した。
【結果】A氏は初期にトラマドール塩酸塩口腔内崩壊錠75mg/日と屯用モルヒネ塩酸塩内用液剤で疼痛管理していたが、X年Y+1月末に疼痛・呼吸苦が増強し、医師からモルヒネ持続皮下注導入の依頼を受けた。薬剤師はオピオイド等価換算から注射用量(10mg/日)を算出し、投与流速0.5mL/時、ロックアウトタイム30分の設定を提案した。導入後、患者の表情は安定し、レスキュー使用は夜間1回のみとなった。経過観察しながら疼痛再発時にはモルヒネ基礎用量を10mg→12mg→17.5mg/日と段階的に調整し、28日間の緩和ケア継続後、穏やかに看取りを迎えた。また薬剤師は疼痛評価と投与量調整に加え、施設看護師への個別指導も行った。
【考察】加算2体制下での薬剤師の役割は無菌調剤技術にとどまらず、痛みの定量評価、持続注射設計、投与量調整など包括的であった。特にレスキュー活用評価と基礎用量調整は患者QOL維持に貢献した。本事例は、無菌調剤体制を基盤とした薬剤師の専門的介入が在宅緩和ケアの質向上に寄与し、他職種への教育的サポートを含めたチーム医療の充実につながることを示している。
【方法】近隣有料老人ホーム入所のALS患者(80代女性、A氏)を対象に、X年Y月より多職種連携(医師・看護師・薬剤師)による訪問診療を開始した。薬剤師は疼痛評価、持続皮下注設計、レスキュー薬運用指導を主導した。
【結果】A氏は初期にトラマドール塩酸塩口腔内崩壊錠75mg/日と屯用モルヒネ塩酸塩内用液剤で疼痛管理していたが、X年Y+1月末に疼痛・呼吸苦が増強し、医師からモルヒネ持続皮下注導入の依頼を受けた。薬剤師はオピオイド等価換算から注射用量(10mg/日)を算出し、投与流速0.5mL/時、ロックアウトタイム30分の設定を提案した。導入後、患者の表情は安定し、レスキュー使用は夜間1回のみとなった。経過観察しながら疼痛再発時にはモルヒネ基礎用量を10mg→12mg→17.5mg/日と段階的に調整し、28日間の緩和ケア継続後、穏やかに看取りを迎えた。また薬剤師は疼痛評価と投与量調整に加え、施設看護師への個別指導も行った。
【考察】加算2体制下での薬剤師の役割は無菌調剤技術にとどまらず、痛みの定量評価、持続注射設計、投与量調整など包括的であった。特にレスキュー活用評価と基礎用量調整は患者QOL維持に貢献した。本事例は、無菌調剤体制を基盤とした薬剤師の専門的介入が在宅緩和ケアの質向上に寄与し、他職種への教育的サポートを含めたチーム医療の充実につながることを示している。
