講演情報
[P-110-B]食事量が低下した患者の低カリウム血症を経口栄養剤により改善した症例
○伊藤 奈桜子, 苺谷 育克 ((株)メディカル一光 フラワー薬局砂田橋)
【はじめに】高齢者では、認知機能障害や嚥下機能の低下により食事量が継続的に減少し、低カリウム血症を引き起こすことがある。その治療にはカリウム製剤が使用されるが、吐き気や胃の不快感、食欲不振などの副作用が報告されており、食欲低下した患者への使用は食事拒否を引き起こすことも考えられた。そこで今回、カリウムを多く含む経口栄養剤の処方提案により、食事量が低下した患者の低カリウム血症を改善した症例を報告する。
【症例】施設に入居中の80代女性。数年前より嚥下機能が低下し、嚥下食を利用。認知機能障害に伴う行動症状を抑える目的で抑肝散加陳皮半夏が処方されていたが、カリウム値が3.0と低くなりX年4月に減量した。8月には、依然カリウム値が低いままであったため、服用中止とした。これにより、不潔行為、大声で叫ぶ、車椅子からの立ち上がりなどの行為を生じるようになった。そこで抑肝散加陳皮半夏による再治療を目指し、低カリウム血症の治療を考えた。今回の患者はアルブミン値が3.2まで低下していたこともあり、治療に経口栄養剤の使用を提案した。
【結果】提案により、経口栄養剤を服用してカリウムの状態を確認していくことになった。治療を開始して3カ月後の12月、カリウム値が4.7にまで改善したため、抑肝散加陳皮半夏による治療を再開した。X+1年1月のカリウム値は4.9であり、その後も状態を維持していた。
【考察】カリウムは1日に約40mEq必要であるが、食事量が十分でない状態が続くと、低カリウム血症を引き起こすことがある。治療にはカリウム製剤を使うが、経口栄養剤もカリウムを多く含むため、状態が軽度の本症例では経口栄養剤の有効性を考えた。経口栄養剤によるカリウムの1日量を28.2mEqとしたところ、服用して3カ月後にカリウム値の十分な上昇が認められた。従って、本症例の様に食事量が低下している患者では経口栄養剤が低カリウム症の改善に役立つ可能性が示唆された。
【症例】施設に入居中の80代女性。数年前より嚥下機能が低下し、嚥下食を利用。認知機能障害に伴う行動症状を抑える目的で抑肝散加陳皮半夏が処方されていたが、カリウム値が3.0と低くなりX年4月に減量した。8月には、依然カリウム値が低いままであったため、服用中止とした。これにより、不潔行為、大声で叫ぶ、車椅子からの立ち上がりなどの行為を生じるようになった。そこで抑肝散加陳皮半夏による再治療を目指し、低カリウム血症の治療を考えた。今回の患者はアルブミン値が3.2まで低下していたこともあり、治療に経口栄養剤の使用を提案した。
【結果】提案により、経口栄養剤を服用してカリウムの状態を確認していくことになった。治療を開始して3カ月後の12月、カリウム値が4.7にまで改善したため、抑肝散加陳皮半夏による治療を再開した。X+1年1月のカリウム値は4.9であり、その後も状態を維持していた。
【考察】カリウムは1日に約40mEq必要であるが、食事量が十分でない状態が続くと、低カリウム血症を引き起こすことがある。治療にはカリウム製剤を使うが、経口栄養剤もカリウムを多く含むため、状態が軽度の本症例では経口栄養剤の有効性を考えた。経口栄養剤によるカリウムの1日量を28.2mEqとしたところ、服用して3カ月後にカリウム値の十分な上昇が認められた。従って、本症例の様に食事量が低下している患者では経口栄養剤が低カリウム症の改善に役立つ可能性が示唆された。
