講演情報

[P-114-C]薬局主催ケアカフェによる多職種連携の可能性と今後の課題

柴田 祐希1, 鈴木 すみれ2, 小田桐 慶2, 水野 芳宏2 (1.(株)なの花東北 なの花薬局 けやき通り店, 2.事業部)
【目的】地域包括ケアシステム推進における多職種連携強化の一環として、当社では、薬局が地域のケアマネージャーと連携することを目的に、薬局主催の「ケアカフェ」(医療、介護、福祉関係者が集まり、コーヒーなどを飲みながら、リラックスして会話や交流を深める場)を開催している。本稿では、その取り組みを報告し、薬局勤務の薬剤師および管理栄養士の役割拡大の可能性と、今後の課題について考察する。
【方法】なの花東北の青森県八戸市8店舗が連携し、地域のケアマネジャーを対象に計3回(2024年5月、10月、2025年2月)のケアカフェを実施した。各回ともに30分の講演・議題提供後に1時間の意見交換会を実施した。案内は各店舗が高齢者支援センター、居宅介護支援事業所、グループホーム等の連携先に個別に行った。
【結果】継続的な開催により、「顔の見える関係」を効果的に構築できた。これにより、薬局の職能に対する理解が促進され、多方面での連携依頼へと発展した。当社管理栄養士のケア会議への参加、在宅患者の自宅での栄養相談、また、新規在宅介入の依頼が増加したほか、地域住民を対象とした介護予防教室や老人クラブでの講演依頼に繋がり、薬局の活動領域が広がる契機となった。
【考察】ケアカフェの開催は、地域における多職種連携を促進し、薬剤師および管理栄養士の職能を幅広く発揮する上で有効な手段であることが示された。しかしながら、この連携をより持続的かつ実質的なものとするためには、継続した多職種の参加により、専門的かつ個別性の高い情報提供のニーズへの対応と、薬局側の人材育成とリソース確保が挙げられる。今後は、定期的なケアカフェ開催の継続に加え、連携内容の質的向上、他職種との協働による地域課題解決への貢献を視野に入れ、地域包括ケアシステムの中核を担う薬局としての役割をさらに強化していく必要がある。