講演情報
[P-119-B]JADERを用いた認知症治療薬関連有害事象の解析
○神田 千尋, 山本 真敬, 野口 和彦, 五来 大児, 望月 一司 ((株)アイセイ薬局 在宅推進部)
【目的】薬局薬剤師が実務に応用可能な形でビッグデータを活用する際の一助とするため、在宅医療で処方頻度の高い認知症治療薬に着目し、有害事象の傾向を分析することで注意すべき薬学的知見の獲得を目指す。
【方法】2024年12月までにJADER(Japanese Adverse Drug Event Report database)に登録された全症例(949,124件)を対象に、認知症治療薬に関連する有害事象を抽出し、報告オッズ比(ROR)およびZスコア(Z)を算出した。
【結果】ドネペジルに関連する有害事象のうち最も有意なものは徐脈(ROR=6.0,Z=22.4)であり、ガランタミン(ROR=10.1,Z=19.4)やリバスチグミン(ROR=8.4,Z=17.2)においても同様に徐脈との関連が認められた。また、コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬との併用により徐脈リスクが増強される可能性のある薬剤としてジソピラミド(ROR=9.8,Z=5.2)が挙げられた。一方で、メマンチンに関連する有害事象の第1位は認知症(ROR=13.7,Z=16.4)であった。
【考察】ChE阻害薬と徐脈との関連には薬学的な妥当性があり、特にジソピラミドとの併用例においては、同剤の陰性変力作用などからリスクを増強しうる可能性が示唆され、実務上における重要な注意点になると考えられる。一方で、メマンチンにみられた適応症シグナルのように、統計学的に有意であっても薬学的妥当性や交絡因子の影響を慎重に検討しなければならない場合もある。本研究は、ビッグデータ解析において多様なバイアスを考慮し薬学的視点を加えた総合的な評価が不可欠であることを示唆するものであり、今後、薬剤師が科学的根拠に基づく多面的なリスク判断を行える体制の整備と、実務に即した解析手法とその解釈についての基盤の構築が課題であると考える。
【方法】2024年12月までにJADER(Japanese Adverse Drug Event Report database)に登録された全症例(949,124件)を対象に、認知症治療薬に関連する有害事象を抽出し、報告オッズ比(ROR)およびZスコア(Z)を算出した。
【結果】ドネペジルに関連する有害事象のうち最も有意なものは徐脈(ROR=6.0,Z=22.4)であり、ガランタミン(ROR=10.1,Z=19.4)やリバスチグミン(ROR=8.4,Z=17.2)においても同様に徐脈との関連が認められた。また、コリンエステラーゼ(ChE)阻害薬との併用により徐脈リスクが増強される可能性のある薬剤としてジソピラミド(ROR=9.8,Z=5.2)が挙げられた。一方で、メマンチンに関連する有害事象の第1位は認知症(ROR=13.7,Z=16.4)であった。
【考察】ChE阻害薬と徐脈との関連には薬学的な妥当性があり、特にジソピラミドとの併用例においては、同剤の陰性変力作用などからリスクを増強しうる可能性が示唆され、実務上における重要な注意点になると考えられる。一方で、メマンチンにみられた適応症シグナルのように、統計学的に有意であっても薬学的妥当性や交絡因子の影響を慎重に検討しなければならない場合もある。本研究は、ビッグデータ解析において多様なバイアスを考慮し薬学的視点を加えた総合的な評価が不可欠であることを示唆するものであり、今後、薬剤師が科学的根拠に基づく多面的なリスク判断を行える体制の整備と、実務に即した解析手法とその解釈についての基盤の構築が課題であると考える。
