講演情報

[P-120-C]医薬品副作用データベース(JADER)における薬剤師が報告した事例の特徴

山根 大輔1,2, 前田 千穂1, 下山 哲哉1, 伊藤 邦彦1, 小林 道也1 (1.北海道医療大学 薬学部, 2.(株)三育)
【目的】医薬品・医療機器等安全性報告制度は、医療関係者が医薬品による重大な副作用を発見した際に医薬品医療機器総合機構(PMDA)に報告する制度であるが、薬剤師による報告は医師等に比べて少ない。今回、PMDAに集積された副作用事例のデータベースであるJADERを用いて、薬剤師による報告について調査し、報告の特徴と経年的な変化について明らかにすることを目的とした。
【方法】2025年2月にPMDAのホームページよりダウンロードした942,929件の事例より、「報告者の資格」の項に「薬剤師」を含む事例を抽出し、2004年度から報告年度ごとに各事例の「有害事象」を集計した。また、報告件数の多かった有害事象については、被疑薬の「一般名」を抽出した。
【結果】報告者が薬剤師単独である報告は、2004年度では全報告の3.0%であったが、2015年度以降は10~15%の間で推移した。また、薬剤師と医師等の共同報告についても、2004年度は5.3%と少なかったが、2015年度以降は16~22%であった。
 次に、薬剤師による報告の有害事象名について集計したところ、2004年度では肝機能異常と間質性肺疾患が上位であったが、2012年度より腎機能障害が増加し、2023年度では間質性肺疾患と腎機能障害が最も多い有害事象であった。そこで、これらの有害事象の被疑薬を調査したところ、肝機能異常と間質性肺疾患ではニボルマブ等の分子標的薬が多く、腎機能障害ではタクロリムスやシクロスポリン、プレガバリンが多かった。
【考察】JADERを用いた解析より、薬剤師による副作用報告の割合は年々増加していることが明らかとなった。また、分子標的薬のような注射剤を被疑薬とした報告が多いものの、薬局薬剤師でも報告可能と考えられる経口剤を被疑薬とした報告も少なくなかった。今後は経口剤に着目した調査し、薬局薬剤師による報告促進の一助となる情報を構築したい。