講演情報
[P-121-A]医薬品副作用データベース(JADER)を用いた麻痺性イレウスの網羅的解析
○佐々木 一生1, 伊藤 将2, 前田 守2, 月岡 良太2, 長谷川 佳孝2, 大石 美也2 (1.アイングループ (株)アインファーマシーズ アイン薬局 築館店, 2.アイングループ (株)アインホールディングス)
【背景】麻痺性イレウス(以下、AI)は薬剤により発現することがあり、薬局薬剤師は早期発見および対応に努める必要がある。しかし、発現要因や発現時期を詳細に調査した報告はほとんどない。本研究では、医薬品副作用データベース(JADER)を用いて、薬剤性AIの特徴を網羅的に解析し、薬局薬剤師が果たすべき役割を考察した。
【方法】2024年3月までにJADERに登録されたAIの被疑薬のうち、報告オッズ比(ROR)が大きく、かつFisher正確確率検定のp値が小さい薬剤を「関連性の高い薬剤」とし、当該薬剤のAI発現までの日数中央値および四分位範囲(IQR)を求めた。さらに、「関連性の高い薬剤」に加え、性別、年齢、BMIを共変量としたロジスティック回帰分析により調整ROR(aROR)および95%信頼区間(CI)を算出し、共変量とAIとの関連を評価した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0278)。
【結果】「関連性の高い薬剤」として、クロザピン(以下、CZP)やオランザピン(以下、OLZ)などが抽出された。また、CZPおよびOLZのAI発現までの日数中央値(IQR)は、それぞれ404日(143-1159)、9日(9.0-9.0)であった。さらに、ロジスティック回帰分析によりAIに関連する要因として、男性(aROR:1.30[95%CI:1.05-1.62])、BMI<18.5(1.79[1.46-2.21])が抽出された。
【考察】CZPおよびOLZは、いずれも抗コリン作用を有し、AIを誘発する可能性のある多元受容体作用抗精神病薬であるが、OLZに比べてCZPではAI発現までの期間に大幅な相違が認められた。この違いは、CZPが漸増投与される薬剤であり、投与量の増加にともなってAIの発現しやすくなったことも原因の1つである可能性が推察された。また、性別や低BMIなどの患者背景がAI発現に関連している可能性も示唆された。以上より、薬局薬剤師は薬剤の投与スケジュールや患者個別の背景も考慮し、AIの早期発見に努めることが重要と考える。
【方法】2024年3月までにJADERに登録されたAIの被疑薬のうち、報告オッズ比(ROR)が大きく、かつFisher正確確率検定のp値が小さい薬剤を「関連性の高い薬剤」とし、当該薬剤のAI発現までの日数中央値および四分位範囲(IQR)を求めた。さらに、「関連性の高い薬剤」に加え、性別、年齢、BMIを共変量としたロジスティック回帰分析により調整ROR(aROR)および95%信頼区間(CI)を算出し、共変量とAIとの関連を評価した(アイングループ医療研究倫理審査委員会承認番号:AHD-0278)。
【結果】「関連性の高い薬剤」として、クロザピン(以下、CZP)やオランザピン(以下、OLZ)などが抽出された。また、CZPおよびOLZのAI発現までの日数中央値(IQR)は、それぞれ404日(143-1159)、9日(9.0-9.0)であった。さらに、ロジスティック回帰分析によりAIに関連する要因として、男性(aROR:1.30[95%CI:1.05-1.62])、BMI<18.5(1.79[1.46-2.21])が抽出された。
【考察】CZPおよびOLZは、いずれも抗コリン作用を有し、AIを誘発する可能性のある多元受容体作用抗精神病薬であるが、OLZに比べてCZPではAI発現までの期間に大幅な相違が認められた。この違いは、CZPが漸増投与される薬剤であり、投与量の増加にともなってAIの発現しやすくなったことも原因の1つである可能性が推察された。また、性別や低BMIなどの患者背景がAI発現に関連している可能性も示唆された。以上より、薬局薬剤師は薬剤の投与スケジュールや患者個別の背景も考慮し、AIの早期発見に努めることが重要と考える。
