講演情報

[P-131-B]栄養講座に運動を組み合わせた薬局イベントにより、筋力向上が確認できた糖尿病患者の一例

小滝 綾乃1, 小野 早希2, 千葉 綾乃3, 丸岡 真依4, 鵜澤 響子5, 今井 真穂6 (1.薬樹(株) 薬樹薬局 上小町, 2.みるたす(株), 3.東松山, 4.都立大学, 5.たかの台, 6.ライフ溝の口)
【目的】生活習慣病の進行予防には、食事改善、適度な運動、治療、定期的な健康管理が重要である。しかし、薬局管理栄養士による食事と運動を組み合わせた健康支援の報告は少ない。今回、栄養講座に運動を組み合わせた薬局イベントにより、糖尿病患者の筋力向上が見られた事例を報告する。
【イベント概要】薬樹薬局上小町では、2024年10月より月2回、栄養と運動の併用イベントを開催している。初回参加者に栄養講座と運動講座を実施し、継続参加者には運動講座のみ提供した。栄養講座では主に蛋白質の摂取タイミングや食材例を解説し、運動講座では福永哲夫氏の「貯筋運動」を導入した。貯筋運動は椅子に座って行う下半身・腹囲の自重トレーニングで、高齢者の筋力低下予防に有効とされている。運動効果の判定として、初回と3か月後に椅子座り立ちテストを採用し、椅子に座る・立つ動作の10回反復の所要時間を測定した。また、毎回事前に参加者の服薬や体調を確認し、運動中は呼吸法や動作範囲に配慮した指導を行った。
【症例と結果】対象は60代男性。2013年より処方箋を受け、2型糖尿病、高血圧症、脂質異常症、高尿酸血症の治療薬を服用していた。本イベントには3か月間で計6回参加。参加前の運動習慣は週1~2回のサイクリングのみだったが、本イベントを契機に自宅で貯筋運動を週6日以上実施するようになった。椅子座り立ちテストのタイムは、19.03秒(2024/10/26)から12.12秒(2025/1/11)へと短縮した。
【考察】薬局イベントにより、椅子座り立ちテストの結果が改善し、対象者の筋力向上が確認された。貯筋運動の評価表では、60代男性で6.2~9.6秒が「優れている」、9.7~16.4秒が「標準」、16.5~19.8秒が「やや劣っている」とされ、対象者は「やや劣っている」から「標準」へと改善し機能向上が見られた。薬局でのこうした取り組みは、生活習慣病患者の運動習慣定着に寄与し、健康支援として有用であると考えられる。