講演情報

[P-132-C]薬局管理栄養士がかかりかつけ薬剤師と連携し急激な腎機能悪化を防止した例

杉本 菜奈, 岡部 絢一 ((株)なの花東日本 なの花薬局昭島駅前店)
【目的】CKDの進行予防には食事療法および薬物療法が重要である。今回、薬栄連携して継続的な介入を通しCKD進行予防に寄与した例を栄養士から報告する。
【症例】ステージG4で専門医療機関未受診の60代後半男性、eGFR17.8mL/min/1.73m2。食事に無関心で自炊なく、CKD進行抑制のため、x年9月~x+1年10月に月1回減塩・減たんぱく質、減カリウムなどの栄養指導を計14回実施した。長期に渡る治療を無理なく継続できるよう鼓舞激励しながら理解度や実施度に応じた指導をし、食事に関する疑問や悩みは都度解決するように関わった。CKD進行抑制には適切な薬物療法も重要であり、かかりつけ薬剤師制度の利用が望ましいと考え、提案し承諾された。栄養士・薬剤師でセルフケア状況や指導内容等を共有し、患者のモチベーションや性格などを踏まえケアの方向性を合わせそれぞれ専門的な指導を継続して行った。患者が栄養士在籍の病院に転院し、透析を回避したまま介入は終了した。
【結果】総食塩摂取量は約13→約8gに減少した。介入中ステージG4を維持し介入前後10ヶ月間でのeGFR変化は、介入前-12.9mL/min/1.73m2(x-1年8月:30.7→x年6月:17.8)、介入後ー4.9mL/min/1.73m2(x年9月:19.6→x+1年7月:14.7)で、介入後の方がeGFR増悪速度は緩徐だった。透析への不安が軽減し精神薬が減薬に、また薬剤師による提案で抗血小板薬が中止になった。
【考察】同じ担当の医療従事者が継続して栄養・服薬指導を実施することで患者の心情や信念、特徴を理解しやすく、信頼関係を構築し個々に応じた指導ができたと言える。CKDは治療期間が長く予後への影響も大きく、食事療法の厳格なコントロールが必要であり、栄養士が栄養学面、薬剤師が薬剤面で連携して患者をフォローすることでCKD患者の急激な悪化防止に期待できる。