講演情報

[P-133-A]薬局管理栄養士と薬局薬剤師が協働したALS患者の在宅支援

稲邊 恵未1, 坂口 春佳1, 菅原 淳2, 近井 佑太1, 黒川 くるみ2, 宮田 可奈子3, 吉田 京華4, 竹島 歩佳5 (1.(株)なの花北海道 なの花薬局 静内緑町店, 2.道南エリア事業部, 3.苫小牧三光店, 4.母恋店, 5.苫小牧北栄店)
【目的】筋萎縮性側索硬化症(以下ALS)での体重減少は予後不良因子の一つであり、適切な栄養管理が必要といえる。また医療依存度が高くなる疾患であり、多職種による連携が欠かせない。薬局薬剤師(以下薬剤師)をはじめ、多職種と連携し支援したALS患者の症例を報告する。
【症例の概要】80歳代女性、独居、身長146cm、体重36kg、BMI16.9kg/m2。現病歴は糖尿病、高血圧症。栄養経路は経腸栄養と経口栄養である。当薬局では居宅療養管理指導を行っており、薬剤師の依頼により薬局独自サービスの在宅訪問栄養指導を開始。患者の希望に添い、必要栄養量の確保と体重の維持、経口摂取の継続を目標とした。
【介入事例及び結果】1.低血糖の頻発について、間食の摂り方・選び方を指導後、速やかに薬剤師へ情報を共有。薬剤師は処方医へ情報提供。結果、処方薬が変更された。2.薬が多く、飲むのが大変との訴えについて、薬剤師へ報告。その後、薬剤は経管投与へ変更。3.訪問看護師からの食事に時間がかかっているとの情報について、主治医へ報告。管理栄養士から主治医へ経腸栄養の増量を進言したところ、経腸栄養が増量となった。また、嚥下機能に応じた調理法を指導し、意欲的に経口摂取を継続できた。結果、管理栄養士介入前35.9kg(X年5月)→37.0kg(X年8月)→36.5kg(X年12月)と介入後からは大きな体重減少なく維持した。
【考察】多職種との密な連携により、患者の希望を尊重した栄養管理が実現し、ALS患者における体重維持に寄与したと考える。薬局管理栄養士は薬剤師とのタイムリーなディスカッションが可能であり、医師・訪問看護師など多職種との連携体制が構築されている為、患者へ寄り添った在宅支援の提供が可能となることが示唆された。しかし、薬局独自サービスである在宅訪問栄養指導は介入事例が少ないのが現状である。今後も薬剤師と連携を深めながら、活動の周知を継続し、地域住民のQOLの向上に寄与していきたい。