講演情報

[P-139-A]患者が求める薬局、調剤事務とは~薬局・患者間の意識差とその改善による満足度向上へ~

山本 希1, 佐野 智也1, 田中 裕三1, 遠藤 淳也1, 佐々木 愛2, 松井 洸2, 山口 浩2, 野村 和彦2 (1.(株)くすりの福太郎, 2.(株)ツルハホールディングス)
【目的】対物業務から対人業務への薬剤師業務のシフトが進む中、業務効率化の一環として調剤事務へのタスクシフトが行われている。本研究では、薬剤師と調剤事務(以下「医療従事者」)、患者意識を比較調査することで、理想のタスクシフトを検討する事を目的とした。その際、患者満足度を維持・向上させるため、薬局利用者の重要な関心事である「待ち時間」と「薬局を選ぶ基準」に着目した。
【方法】弊社の保険薬局148店舗に勤務する医療従事者および、36店舗において趣旨に同意した患者対象に、「薬局を選ぶ基準」に関するアンケートを実施した。また、待ち時間対策として、3剤以下の処方を優先的に投薬する「優先レーン」を19店舗で導入した。
【結果】医療従事者632名、患者418名から回答を得た。薬局を選ぶ基準として医療従事者の上位3項目は、(1)病院からの近さ、(2)待ち時間が共に195名(30.9%)、(3)自宅からの近さが160名(25.3%)であった。患者では(1)149名(35.6%)、(2)107名(25.6%)、(3)115名(27.5%)であった。また、許容範囲の待ち時間は、医療従事者で15~30分とする方が295名(46.7%)となった。患者では15分以内とする方が210名(50.3%)と半数以上となった。優先レーン導入により平均待ち時間は31.2分から13.5分となり、17.7分短縮した。
【考察】本研究により、医療従事者と患者の双方にとって「待ち時間」が薬局選択における重要な因子であることが確認され、特に患者は医療従事者の想定以上に短い待ち時間を求めていることが明らかになった。待ち時間対策としての「優先レーン」の導入は、この患者の期待に応える有効な手段の一つとして、平均待ち時間を大幅に短縮する効果を示した。今後の展望として、タスクシフトが薬剤師の業務時間配分や対人業務の質、患者満足度に与える影響等について調査を行うことで、患者本位の薬局機能とは何かを追求する必要がある。