講演情報

[P-142-A]事務スタッフによるかかりつけ薬剤師制度の情報提供と同意取得の関連調査:記述研究

高田 麻衣1, 犬塚 博貴2,3, 小川 愛3 (1.(株)なの花九州 さくら薬局 JR久留米駅ナカ店, 2.(株)なの花九州 さくら薬局大村店, 3.(株)なの花九州 事業部)
【目的】2016年に開始された「かかりつけ薬剤師制度」は、認知度や算定率の低迷が課題である。本研究は、事務スタッフ(以下事務)による情報提供活動と、継続的支援を必要とする患者に対する薬剤師の関与の契機の一つであるかかりつけ薬剤師の契約同意との関連について検討した。
【方法】2023年9月13日~2024年1月31日、門前医療機関を持たない調剤薬局単施設にて、処方箋を持参した患者を対象とした。かかりつけ薬剤師をもつ患者、同意能力がない患者、保護者同伴のない未成年を除外した。事務が待ち時間に自作のパンフレットを用いて制度の説明を行い(以下口頭説明)、説明を拒否した場合はパンフレットを配布した(以下配布のみ)。パンフレットにはかかりつけ薬剤師制度の説明、薬剤師の写真とコメントを掲載した。服薬指導後に薬剤師が制度の詳細な説明を行い、かかりつけを希望する者には同意取得を行った。主要評価項目は同意取得の割合、副次的に説明方法、年齢、性別との関連を検討した。検定はFisherの正確確率検定にて、有意水準は0.05とした。
【結果】全体の同意割合は60.7%(51/84)だった。口頭説明群で56.0%(28/50)、配布のみ群で67.6%(23/34)で有意差はなかった(p=0.364)。年齢別の同意割合は75歳以上、66.7%(12/18)、65-74歳62.5%(16/22)、16-64歳51.4%(23/44)で有意差はなかった(p=0.268)。性別での同意割合は女性69.2%、男性46.9%であり、有意差は見られなかった(p=0.065)。
【考察】選択バイアスを考慮すると口頭説明群の方が同意取得割合が高いと想定されたが、群間による差は見られなかったことから、能動的に制度を認知し吟味する環境の提供が同意取得へ繋がった可能性がある。
また、年齢間で有意差が見られなかったことから、年齢を問わず必要性があれば制度利用へ繋がると考えられる。