講演情報

[P-146-B]薬局薬剤師を対象としたコミュニケーションや患者心理に関する調査~患者に寄り添う薬剤師になるために~

小倉 未来1, 佐野 智也2, 阿部 真也3, 竹平 理恵子4, 有田 悦子4 (1.くすりの福太郎 緑が丘店, 2.(株)くすりの福太郎, 3.(株)ツルハ, 4.北里大学 薬学部)
【目的】薬局薬剤師には、服薬指導において患者の心情に寄り添った対応が求められており、コミュニケーションは重要となる。本研究は、コミュニケーションや患者心理の基本的知識について学んだ時期等について調査することで、今後の薬剤師教育の一助とすることを目的とした。
【方法】2024年9月12日~29日に薬局薬剤師209名を対象としたWebアンケート調査を実施した。調査項目は、薬剤師がコミュニケーションについて学んだ経験、学んだ時期、傾聴、受容、共感、行動変容のステージモデル、死の受容5段階への理解度等とした。学んだ時期は、薬剤師の最終学歴ごとに集計した。
【結果】回答が得られた96名(45.9%)は、4年制卒44名、6年制卒51名、大学院修了1名だった。56名(58.3%)にコミュニケーションを学んだ経験があり、複数回答で得られた学んだ時期は4年制卒(n=22)で大学生時代4名、就職後19名、6年制卒(n=33)で大学生時代29名、就職後13名、大学院修了(n=1)で就職後1名だった。理解度について、「内容を説明できる」と回答した者は、傾聴47名(49.0%)、受容33名(34.4%)、共感64名(66.7%)、行動変容のステージモデル5名(5.2%)、死の受容5段階12名(12.5%)だった。
【考察】4年制卒と比較して、6年制卒がコミュニケーションを学んだ時期は主に大学生時代だったことから、6年制教育において対人に関する教育が強化されたことが影響したと考えられる。また、患者とのコミュニケーションや患者心理に関する知識では、傾聴、受容、共感の理解度は高い傾向にある一方、行動変容のステージモデルや死の受容5段階の理解度は低い傾向にあった。以上より、大学で教育を受けていても臨床実践に繋がる理解を深めることは難しい現状が示唆され、就職後もコミュニケーションや患者心理を学ぶ機会を提供し、アクティブラーニング等薬剤師が活用可能な知識や技能を学べるよう工夫が必要だと考えられる。