講演情報

[P-148-A]ナカジマ薬局における質的評価指標を活用した薬局薬剤師初期教育の実践とその効果

馬場 千寛1, 桶野 友恵1, 樋浦 一哉2, 石野 晃浩1, 岩崎 正宏1, 高嶋 健太1, 本間 絵里子1, 灘本 夏子1, 徳永 佳代1, 宮本 雄大1, 谷口 亮央1, 山下 美妃2, 早川 達1, 中島 史雄1 (1.(株)ナカジマ薬局, 2.北海道科学大学薬学部 臨床薬剤学分野)
【目的】薬剤師業務の質向上を目的として,若手薬剤師に対し薬歴を用いた質的評価指標による評価およびフィードバックを実施し,スコアの向上が認められるかを検討する.また,評価実施後の業務姿勢や意識の変化についても調査した.
【方法】新卒薬剤師14名を対象に,入社1年次および同一薬剤師の2年次の薬歴を評価した.各自が「最もよくフォローできた」と考える薬歴1件を選出し,質的評価指標に基づき自己評価および第三者評価を実施.その後,評価者より本人へフィードバックを行った.
 質的評価指標は,項目別評価(A:病態・処方の妥当性の理解と判断,B:情報収集[ヒアリング]の質,C:アセスメント力[分析・推論],D:実行[服薬指導・他職種連携],E:記録[情報の端的・的確な伝達])を各1~4点の4段階,全体評価(F:方針の明確さ[全体像],G:継続性[フォローの連続性])を各0・2・4点の3段階評価で構成されている.さらに,被評価者・評価者・店長または指導担当者に対し,業務姿勢の変化に関するアンケートを実施した.
【結果】1年次と比較して2年次の平均スコアは有意に上昇していた( P < 0.01).また項目別ではE:記録( P < 0.01),G:継続性( P < 0.05)において有意な上昇がみられた.アンケートでは,被評価者から「自分の不足点を把握できた」との回答が多く,評価者や指導者担当者からも「薬歴記載の取捨選択が上達した」などの肯定的な意見が得られた.
【考察】2年目でスコアの有意な上昇がみられたことから,実務経験の蓄積に加え,質的評価指標を用いた評価とフィードバックが薬歴記載力の向上に寄与した可能性が示唆される.特に記録や継続性の改善は,情報整理・伝達力の向上を反映していると考えられる.自己認識や記録への意識の変化も確認され,本指標を活用した指導は若手薬剤師の業務姿勢と対人業務の質向上に有効と考えられる.