講演情報
[P-155-B]薬局薬剤師を対象とした処方提案技能向上にむけた研修効果 トレーシングレポート件数の変化とSCAT分析による行動変容要素の探索
○板野 円香1, 宮本 啓悟1, 藤井 美枝1, 丸山 仁美1, 今野 有彩1, 宇野 智哉1, 野見 真人1, 浜口 健斗1, 東尾 健太郎1, 宮里 由貴子1, 橋本 良太2, 松浦 正佳2, 岩城 正宏3 (1.(株)サエラ 学会発表に関する研究会, 2.学術教育部, 3.サエラ研究所)
【目的】薬局薬剤師による処方提案の質向上には医薬品情報の適切な活用が不可欠である。本研究では、医薬品情報活用と処方提案スキル向上を目的とした社内研修の効果をトレーシングレポート(TR)報告件数および質的分析から検証した。
【方法】薬局薬剤師を対象に医薬品情報活用に関する3回の社内研修を実施し、受講前後のTR報告件数と情報源活用状況を調査した。TR件数の変化はWilcoxon符号付順位検定で、研修後TR件数への影響因子は負の二項回帰分析で評価した。また、自由記述回答をSCAT(Steps for Coding and Theorization)により質的に分析した。
【結果】解析対象14名(回収率37.8%)のうち、半数以上が「研修後に情報源活用回数が増えた」と回答したが、TR報告件数に有意な変化はなかった(30→27件、p = 0.83)。負の二項回帰分析では、医薬品リスク管理計画(RMP)やインタビューフォーム(IF)の活用がTR件数増加と関連する傾向を示したものの、統計的有意差は認められなかった(主要因子:RMP使用 β = 0.544, p = 0.35)。SCAT分析からは、情報源の適切な使い分け、統計的思考、および実践知の習得が行動変容に必要な要素として抽出された。
【考察】TR報告件数に有意な変化は見られなかったものの、初学者への教育効果と情報源活用の重要性が示唆された。特にRMPやIFの活用が処方提案行動を促進する可能性が示されたが、サンプル数の制約から統計的有意差は確認できなかった。質的分析からは、医薬品情報を臨床判断へと結びつけるには、批判的吟味能力と情報の再構成力が重要であることが明らかになった。本研究の限界として少数例での検討であることが挙げられる。今後は対象者数を増やし、TR件数だけでなく処方提案の質や臨床アウトカムを含めた多角的な評価が必要である。
【方法】薬局薬剤師を対象に医薬品情報活用に関する3回の社内研修を実施し、受講前後のTR報告件数と情報源活用状況を調査した。TR件数の変化はWilcoxon符号付順位検定で、研修後TR件数への影響因子は負の二項回帰分析で評価した。また、自由記述回答をSCAT(Steps for Coding and Theorization)により質的に分析した。
【結果】解析対象14名(回収率37.8%)のうち、半数以上が「研修後に情報源活用回数が増えた」と回答したが、TR報告件数に有意な変化はなかった(30→27件、p = 0.83)。負の二項回帰分析では、医薬品リスク管理計画(RMP)やインタビューフォーム(IF)の活用がTR件数増加と関連する傾向を示したものの、統計的有意差は認められなかった(主要因子:RMP使用 β = 0.544, p = 0.35)。SCAT分析からは、情報源の適切な使い分け、統計的思考、および実践知の習得が行動変容に必要な要素として抽出された。
【考察】TR報告件数に有意な変化は見られなかったものの、初学者への教育効果と情報源活用の重要性が示唆された。特にRMPやIFの活用が処方提案行動を促進する可能性が示されたが、サンプル数の制約から統計的有意差は確認できなかった。質的分析からは、医薬品情報を臨床判断へと結びつけるには、批判的吟味能力と情報の再構成力が重要であることが明らかになった。本研究の限界として少数例での検討であることが挙げられる。今後は対象者数を増やし、TR件数だけでなく処方提案の質や臨床アウトカムを含めた多角的な評価が必要である。
