講演情報

[SY1-1]患者に届く医薬品情報とは何か~PMDAが望む医薬品情報提供とその先~

生田 学登 (独立行政法人医薬品医療機器総合機構 安全性情報・企画管理部 調査専門員)
令和6年度診療報酬改定で特定薬剤管理指導加算3が新設され、医薬品リスク管理計画(RMP)に係る情報提供資材を用いた服薬指導が算定の対象となるなど、薬局における対人業務では、医薬品の適正使用や安全性に関して、資材等を活用した重点的な説明が求められている。医薬品医療機器総合機構(PMDA)では、上記のような医薬品の適正使用の推進や安全性確保を目的として、医療関係者および患者向けに情報を整理した各種資材を、ウェブサイトを介して提供している。
 PMDAが提供する情報提供資材には、RMPの追加のリスク最小化活動の一環として作成される資材(RMP資材)や患者向医薬品ガイド等が挙げられる。これらは、医薬品の効果や注意すべき副作用、服薬上のポイント等について、患者の理解を支援するツールとして活用されることが期待される。一方、PMDAの調査1)や日本医療研究開発機構の研究班の調査2)より、現場におけるRMP資材の活用度や、患者向医薬品ガイドの患者の認知度は低いことが報告されており、これらの資材の活用度は高くないことがうかがえる。現場での患者への情報提供をより推進するためにも、各種資材の内容や作成意図、活用方法について、薬剤師の方をはじめとする情報提供者より知っていただくことが課題の一つであると考える。
 また、PMDAでは、GS1バーコードやYJコードから各種医薬品資材にアクセスできる仕組みも公表している。このようなシステムを活用した資材の活用・提供方法についても、企業や医療関係者など関連するステークホルダー間で意見交換し、現場での情報提供がより推進されるような仕組みづくりについても議論したいと考える。
 本シンポジウムでは、PMDAが行う情報提供の概要について紹介し、PMDAが発信する情報提供資材の作成意図や、現場などで期待する活用方法を説明する。また、これら医薬品情報の患者への提供方法など、今後の課題についても議論したい。
1) 2022年度 薬局における医薬品安全性情報の入手・伝達・活用状況等に関する調査
2) 医薬品に関する消費者・患者向けリスク・ベネフィットコミュニケーションの実態調査, 山本健, 山本ライン, 宮田滉平, 漆原尚巳, 山本美智子, 医薬品情報学, 20(3), 180-188, 201


【略歴】
2024年03月 大阪大学大学院 薬学研究科 創成薬学専攻 卒業
2024年04月 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構 入構