講演情報

[SY12-1]行政から見る災害医療

荒関 友和 (北海道保健福祉部 地域医療推進局 地域医療課 課長補佐)
北海道には、本来、都道府県単位とされている三次医療圏が6つ存在する。二次医療圏は21に上る。本道における災害医療については、他都府県とは異なり、道全体を一つの単位として語ることは困難であり、現実的ではない。
 道内には、災害医療の要となる災害拠点病院が34、DMAT指定医療機関が37ある。災害拠点病院は全国で4番目、DMAT指定医療機関は東京都に次ぐ数である。ところが、1医療機関でカバーしなければならない面積という視点で算出すると、共に、群を抜いて全国最下位(最大)となる。道では、双方とも二次医療圏単位での空白地域がないよう配置している。
 我が国において、災害医療の政策的な転換期となったのは阪神・淡路大震災と考えられる。これを契機に、全国的に災害拠点病院、次いで、DMATの体制整備が進んだ。その後、道内では胆振東部地震、道外では東日本大震災や能登半島地震等の大規模災害を経験した。道内のDMAT等は災害毎に積極的に道外へ出動している。
 東日本大震災以降、DMAT以外にも、災害時での活動を想定するチーム等の種類が増加している。また、近年、胆振東部地震や新型コロナウイルス感染症初期におけるダイヤモンドプリンセス号の事案等を通じ、災害医療の考え方自体にも変化が生じている。
 今後、本道においては有珠山の噴火や、千島海溝沖地震等が懸念されている。
 泊原子力発電所が立地していることによる複合災害や、厳冬期における災害発生対応も課題である。
 さらに、災害対応を行う各主体においては、各々、定期的な訓練、研修等を繰り返し実施していると考えられるが、災害発生時の肝となる、情報の共有や組織間での有機的な連携が求められている。


【略歴】
2003年11月 日高支庁 総務部 税務課
2005年 4月 日高支庁 総務部 総務課
2006年 5月 農政部 食の安全推進局 畜産振興課
2009年 4月 保健福祉部 医療政策局 医療政策薬務課
2012年10月 渡島総合振興局 地域政策部 地域政策課 主査
2015年 6月 札幌医科大学附属病院 病院課 主査
2017年 4月 保健福祉部 地域医療推進局 地域医療課 主査
2020年 4月 経済部 観光局 主査
2022年 4月 釧路総合振興局 総務課 主幹(弟子屈町役場 観光商工課 課長補佐)
2024年 4月 保健福祉部 地域医療推進局 地域医療課 課長補佐