講演情報
[SY12-2]北海道の災害薬事コーディネーター制度と病院における業務継続計画について
○稲村 広敏 (札幌医科大学附属病院 薬剤部 指導専門員/札幌医科大学 北海道病院前・航空・災害医学講座)

『大規模災害時の保健医療福祉活動に係る体制の強化について』(令和7年3月31日付科発0331第10号)により大規模災害が発生した際、被災都道府県は速やかに災害対策本部の下に保健医療福祉調整本部を設置するよう整備されている。
第8次北海道医療計画のなかで災害薬事コーディネーターは災害医療コーディネーターや小児周産期リエゾンと併記されており、保健医療福祉調整本部等において必要な助言等を行うこととなっている。北海道では災害薬事コーディネーターとDMAT等との合同訓練や北海道主催の育成研修を行い、その機能を十分に発揮できるよう体制整備を進めている。現在、全道災害薬事コーディネーターとして3名(薬局薬剤師2名、病院薬剤師1名)、地域災害薬事コーディネーターとして三次医療圏(6医療圏)ごとに3名(薬局薬剤師2名、病院薬剤師1名)ずつ委嘱されている。『「災害薬事コーディネーター活動要領」について』(令和7年3月10日付医薬総発0310第2号)により制度としては整いつつあるものの、初動・配置場所・連携など実動面での成熟が必要である。
北海道の災害薬事コーディネーターは、災害の知識や災害支援経験を有する薬局薬剤師と災害拠点病院に所属する病院薬剤師から選別されている。
災害拠点病院の指定要件として、災害発生時に傷病者の受入れ体制を有することや通常の6割程度の発電容量のある自家発電を保有することなどが規定されている。また業務継続計画(以下、BCP)の整備が求められる。医療機関におけるBCPとは、災害によって損なわれる病院機能を事前準備と行動計画の遂行により維持回復するとともに、災害急性期のみならず亜急性期慢性期の医療ニーズにも対応するための計画である。
札幌医科大学附属病院(以下、当院)では災害医療対策活動マニュアルとBCPを統合し「災害対策マニュアル統合版」として作成している。BCPの項目は①被害想定、②院内状況の把握評価、③災害時対応のための事前準備、④災害時における優先業務と行動計画、⑤BCPの課題と今後の取り組み、⑥BCPの維持・運用、⑦当院施設概要となっている。2020年3月に制定後、当院災害医療対策会議での整理がなされ、2024年4月に改訂を行っている。
当シンポジウムでは、まず北海道における災害薬事コーディネーター制度の現状を報告する。また病院のBCPの一例として当院の「災害対策マニュアル統合版」を紹介し、災害に備える意義について皆様と考えてみたい。
【略歴】
2004年3月 北海道大学薬学部卒業
2004年4月 イオン株式会社 ジャスコ新中野店薬局
2008年9月 北斗病院 薬剤科
2012年6月 札幌医科大学附属病院 薬剤部
2017年4月 札幌医科大学 北海道病院前・航空・災害医学講座 兼務
現在に至る
【認定・資格】
日本臨床救急医学会 救急専門薬剤師、救急認定薬剤師
日本災害医学会 災害医療認定薬剤師、認定ロジスティクス専門家
DMATインストラクター
全道災害薬事コーディネーター
第8次北海道医療計画のなかで災害薬事コーディネーターは災害医療コーディネーターや小児周産期リエゾンと併記されており、保健医療福祉調整本部等において必要な助言等を行うこととなっている。北海道では災害薬事コーディネーターとDMAT等との合同訓練や北海道主催の育成研修を行い、その機能を十分に発揮できるよう体制整備を進めている。現在、全道災害薬事コーディネーターとして3名(薬局薬剤師2名、病院薬剤師1名)、地域災害薬事コーディネーターとして三次医療圏(6医療圏)ごとに3名(薬局薬剤師2名、病院薬剤師1名)ずつ委嘱されている。『「災害薬事コーディネーター活動要領」について』(令和7年3月10日付医薬総発0310第2号)により制度としては整いつつあるものの、初動・配置場所・連携など実動面での成熟が必要である。
北海道の災害薬事コーディネーターは、災害の知識や災害支援経験を有する薬局薬剤師と災害拠点病院に所属する病院薬剤師から選別されている。
災害拠点病院の指定要件として、災害発生時に傷病者の受入れ体制を有することや通常の6割程度の発電容量のある自家発電を保有することなどが規定されている。また業務継続計画(以下、BCP)の整備が求められる。医療機関におけるBCPとは、災害によって損なわれる病院機能を事前準備と行動計画の遂行により維持回復するとともに、災害急性期のみならず亜急性期慢性期の医療ニーズにも対応するための計画である。
札幌医科大学附属病院(以下、当院)では災害医療対策活動マニュアルとBCPを統合し「災害対策マニュアル統合版」として作成している。BCPの項目は①被害想定、②院内状況の把握評価、③災害時対応のための事前準備、④災害時における優先業務と行動計画、⑤BCPの課題と今後の取り組み、⑥BCPの維持・運用、⑦当院施設概要となっている。2020年3月に制定後、当院災害医療対策会議での整理がなされ、2024年4月に改訂を行っている。
当シンポジウムでは、まず北海道における災害薬事コーディネーター制度の現状を報告する。また病院のBCPの一例として当院の「災害対策マニュアル統合版」を紹介し、災害に備える意義について皆様と考えてみたい。
【略歴】
2004年3月 北海道大学薬学部卒業
2004年4月 イオン株式会社 ジャスコ新中野店薬局
2008年9月 北斗病院 薬剤科
2012年6月 札幌医科大学附属病院 薬剤部
2017年4月 札幌医科大学 北海道病院前・航空・災害医学講座 兼務
現在に至る
【認定・資格】
日本臨床救急医学会 救急専門薬剤師、救急認定薬剤師
日本災害医学会 災害医療認定薬剤師、認定ロジスティクス専門家
DMATインストラクター
全道災害薬事コーディネーター
