講演情報

[SY12-4]ほくやく(医薬品卸)のBCP対策の現状と課題

山本 光紀 (株式会社ほくやく 執行役員 管理本部長)
近年、全国的に地震をはじめとした自然災害が各地で数多く発生しております。
 昨年2024年度は、能登の大地震から始まり、気象変化による大雨、台風の被害、北海道においては明けて2月に帯広にて一晩で120㎝の積雪等の雪害と、科学の進歩をもってしても、人力をもってしても、被害をゼロにすることは不可能な事象が数多く起こっております。
 医師、看護師、薬剤師、検査技師等、直接の医療従事者の皆様は、強い使命感を責任感により職業選択をされ、24時間365日ご尽力されていることと心より感謝申し上げます。医薬品卸社員の私も、医療者の一員として、生命関連商品を取り扱っているという自覚と責任を前面に、リクルート、社員教育に邁進しているところであります。
 ここ北海道におきましても、2018年9月6日早朝、北海道で観測史上はじめて震度7を記録した大地震が発生いたしました。『平成30年北海道胆振東部地震』です。当時現場の支店責任者として、3日間の停電の中、おりしも残暑で暑さの残る中、透析施設への納品に汗をしたことが昨日のことのように焼き付いております。この災害の前は、緊急連絡網整備、災害訓練じみたことは弊社としても実施してはおりましたが、今にしてみれば、形骸化という言葉がしっくりとくるレベルの取り組みでした。この災害の後、自家発電機の点検、整備、緊急車両の増車、連絡網の改訂(人が入れ替わるたびに即)、災害備品の整備、備品の期限管理と入替確認、従業員数変動による備品数量の更新、訓練結果のフィードバック、安否確認無応答者への指導、原因追及等の強化をしてまいりました。
 災害から早いもので8年経過をしました。この間、医療従事者の皆様が大変ご尽力をされたコロナ禍もあり、社内では災害に対する意識が若干弱まっているように感じられ、『使えるPCP対策の再構築』をスローガンとして、新たな指針策定を開始したところでもあります。
 北海道の医薬品卸が、災害時医療に不可欠な医薬品をはじめとする生命関連商品を、災害救急医療の現場にお届けする体制の現状と課題を少しでもご紹介できればと考えております。これで万全というものはございません。仕組み、マニュアルといった表舞台のものは大前提ではありますが、従業員の意識と自覚が下支えとして緊急時の原動力に他ならないということを共有させていただければと思います。


【略歴】
1993年 4月 株式会社バレオ入社(札幌北管理部)
1994年 7月 株式会社バレオ 札幌厚別支店(営業)
1999年 4月 株式会社ほくやくに社名変更(合併により)
2000年10月 株式会社ほくやく札幌支店(病院担当MS)
2005年 7月 株式会社ほくやく札幌支店(営業課長)
2010年 7月 株式会社ほくやく営業本部 病院営業部(次長)
2013年10月 株式会社ほくやく空知支店(支店長)
2015年10月 株式会社ほくやく札幌支店(支店長)
2024年10月 会社ほくやく管理本部(本部長)