講演情報

[SY13-4]門前立地ではない保険薬局におけるがん患者への取り組みについて

大槻 一彰 (総合メディカル株式会社 そうごう薬局 湯の川店 管理薬剤師)
近年、外来で治療を受けるがん患者数の増加に伴い、保険薬局でもがん治療に関わる処方箋を応需するケースが増えている。一方で処方箋には化学療法のレジメンに関する情報は掲載されている例は少なく、保険薬局薬剤師はがん患者がどのような治療を受けているのか十分に把握できていない場合も多い。近年は連携充実加算などにより薬局との連携も少しずつ進んでいるが、門前立地ではない保険薬局においては、専門医療機関と十分に連携をとるのは難しく、情報収集を患者家族など本人以外から聴取した情報に頼っているケースも少なくない。そうごう薬局 湯の川店(以下当薬局)も最も近いがん診療連携拠点病院とは5km近く離れており、がん関連処方箋の応需経験も少ないことから、外来がん治療患者へのベストな対応を実施することに苦慮していた。私は2021年から当薬局に配属になったが、当初からがん患者への対応を改善したいという想いはもっていたものの、かかりつけ薬剤師として患者ニーズに応えていくためにはどのようなフォローアップを行っていけばいいか、また独りで遠方の専門医療機関とどのように連携を構築していくべきか、五里霧中の状態であった。そこで、総合メディカル株式会社の中で実施していた薬剤師活躍支援プログラム(がん分野)に応募し、がん分野の基礎知識の習得や社内のプログラム生同士での定期的なオンライン症例検討会を通して多種多様な状況に応じた対応力と知識を深め、がん患者への介入方法や医療機関との連携構築について学びを深めた。その結果、門前立地ではない保険薬局においてもがん患者に対して適切な対応を行い、専門医療機関と連携した薬学的な介入を提案することが出来るようになった。シンポジウムの中では、それらの取り組みや介入事例について紹介する。現在は、更に専門性を深めるために、日本臨床腫瘍薬学会(JASPO)がん診療病院連携研修に参加し、外来がん治療認定薬剤師の資格取得に向けて自己研鑽を行っている。
 門前立地ではない保険薬局にとっては、専門医療機関との連携やがん処方箋の応需経験が少ないことなど、がん患者対応を適切に行ううえで多くのハードルがある。一方で、「自宅近くの、かかりつけ薬局でお薬を受け取りたい」と考えるがん患者のニーズに応えるためにも、かかりつけ薬剤師としてできることを模索していきたいと考える。


【略歴】
2016年 北海道薬科大学(現 北海道科学大学)薬学部薬学科 卒業、薬剤師免許 取得
2016年 総合メディカル株式会社 そうごう薬局 花輪店 入職(~2019年)
2017年 日本薬剤師研修センター 研修認定薬剤師 認定(2023年更新2回目)
2019年 前田産業株式会社 南本通薬局 入職(~2021年)
2021年 総合メディカル株式会社 そうごう薬局 湯の川店 入職(現職、2022年~管理薬剤師)
日本保険薬局協会
日本臨床腫瘍薬学会