講演情報
[SY4-2]米国における患者の多様性に配慮した服薬指導
○大野 真理子 (ウォルグリーンズスペシャルティー薬局 薬剤師)

一昔前ならあらゆる集まりは“レディースアンドジェントルマン!”という一声で始まっていました。日本語の“皆さん!”という意味合いになるお馴染みのフレーズです。しかし、現在では全く聞くことがなくなりました。LGBTQ + 、セクシャルマイノリティ(性的少数者) に代表される多様な性のあり方が理解され始めた今、このフレーズはすべての個人を理解、尊敬するためには不完全な言葉になったからです。薬局で患者への服薬指導の際に、名前から判断して慣例的に“ミスター”と患者に話かけて後悔する瞬間があります。本当にその呼び方で正しいのかどうかは患者に直接尋ねるまではわからないからです。日本人ならば人を呼び捨てにするのは失礼と考えられていますが、米国でも親しくない間柄では「さん」に当たるミスター、ミス、ミセスで患者を呼ぶのは当然であった時期がありました。現在では意識的に患者をファーストネームで呼ぶ環境にあります。
Patient-centered care、患者を中心としたヘルスケアのアプローチは、敬称をどうするかといった、一見、些細なところから始まります。薬剤師として、患者が自身の薬物治療について理解し、一般的な治療成果だけでは無く、患者がどのような治療結果をゴールとして設定するかということも、コミュニケーションを通じて確認することが重要です。米国では英語が共通語になっていますが、スペイン語を始め、その他の言語を第一言語としている患者は多くいらっしゃいます。患者の家族が通訳を申し出る場合が多いのですが、そうすると正しい翻訳がなされているのかどうかは不明ですし、家族とは言え、患者のプライバシーへの配慮に欠くことになってしまいます。
多様性が存在することを意識し、それに対してどのようなアプローチをすれば良いのか。それは、実際に患者さんと話を始めるまでわからない部分が多くありますが、あらゆる背景を持つ患者さんに対応できる薬剤師であるために、私たち薬剤師は医療知識のみならず、時代の流れに関心を持ち、理解を深め、服薬指導を適切に行なっていくべきだと思います。
【略歴】
1997年 武庫川女子大学薬学部卒業、薬剤師免許取得
1997年 武庫川女子大学薬学部薬化学研究室 嘱託助手
2005年 米国フロリダ大学薬学部 Pharm.D.取得、米国フロリダ州薬剤師免許取得
2005年 ウォルグリーンズ薬局勤務
2015年 米国フロリダ大学経営学部 MBA取得
2016年 米国テキサス州薬剤師免許取得
2017年 ウォルグリーンズスペシャルティー薬局勤務
2019年 HIV薬剤師認定証取得(AAHIVP: American Academy of HIV Medicine)
Patient-centered care、患者を中心としたヘルスケアのアプローチは、敬称をどうするかといった、一見、些細なところから始まります。薬剤師として、患者が自身の薬物治療について理解し、一般的な治療成果だけでは無く、患者がどのような治療結果をゴールとして設定するかということも、コミュニケーションを通じて確認することが重要です。米国では英語が共通語になっていますが、スペイン語を始め、その他の言語を第一言語としている患者は多くいらっしゃいます。患者の家族が通訳を申し出る場合が多いのですが、そうすると正しい翻訳がなされているのかどうかは不明ですし、家族とは言え、患者のプライバシーへの配慮に欠くことになってしまいます。
多様性が存在することを意識し、それに対してどのようなアプローチをすれば良いのか。それは、実際に患者さんと話を始めるまでわからない部分が多くありますが、あらゆる背景を持つ患者さんに対応できる薬剤師であるために、私たち薬剤師は医療知識のみならず、時代の流れに関心を持ち、理解を深め、服薬指導を適切に行なっていくべきだと思います。
【略歴】
1997年 武庫川女子大学薬学部卒業、薬剤師免許取得
1997年 武庫川女子大学薬学部薬化学研究室 嘱託助手
2005年 米国フロリダ大学薬学部 Pharm.D.取得、米国フロリダ州薬剤師免許取得
2005年 ウォルグリーンズ薬局勤務
2015年 米国フロリダ大学経営学部 MBA取得
2016年 米国テキサス州薬剤師免許取得
2017年 ウォルグリーンズスペシャルティー薬局勤務
2019年 HIV薬剤師認定証取得(AAHIVP: American Academy of HIV Medicine)
