講演情報
[SY9-4]電子トレーシングレポートのシステム構築と活用
○吉田 優子 (京都大学医学部附属病院 薬剤部 薬剤主任)

トレーシングレポート(服薬情報提供書)は、保険薬局の薬剤師が患者の情報を医療機関に提供するための文書であり、服薬状況や副作用などを医師や医療スタッフに伝えることで、より安全で効果的な治療につなげることを目的として広がってきている。レポートの書式は、医療機関や地域によって薬剤ごとの標準的なフォーマットが作成されていることが多く、必要な情報の収集や円滑な情報連携が可能となっている。
しかし、報告手段は現在もFAXが中心であり、増加するレポートの登録業務を担当する病院薬剤師の負担が増えてきている。煩雑な登録作業や記録の管理は連携の障壁となり、薬局で得られた情報を有効に活用できないおそれがあるため、この負担を軽減し、より効率的で効果的な情報共有を行うことは課題のひとつとなっている。
京都大学医学部附属病院(以下、当院)では、院外処方箋のFAX送信システムデータを利用し、保険薬局にて処方箋情報に紐付き電子的にトレーシングレポートを作成できるシステム(AAdE-Report)を株式会社ファインデックスと共同開発し、2023年3月より運用開始した。このシステム導入により、電子カルテへの転記やスキャン依頼などの事務的な処理にかかる時間を大幅に削減することができた。迅速で効率的な情報共有により、本来の目的である患者情報の把握や個別的な対応に重点を置くことが可能となっている。
また、報告した薬局への返信が十分に実施されていないことも課題として挙げられるが、本システムではチャット機能を有しており、薬局からの軽微な問い合わせや、医療機関からの返信に活用することが可能である。連携強化をさらに進め、より安心で安全な医療コミュニティの構築に貢献できると考えられる。
電子トレーシングレポートシステムは、カルテへの誤登録や紙媒体の紛失リスク回避、印刷やFAX送信にかかるコストを削減し、医療従事者間の連携を円滑にして医療の安全性と質を高め、業務の効率化にも貢献する有用なツールとなってきている。2025年6月に報告されたレポートは434件で、このうち電子トレーシングレポートシステムを利用した報告は318件と70%以上を占めている。本発表では、システムの概要と当院での運用・活用事例について紹介する。
【略歴】
1995年 3月 東北大学薬学部 卒業
1997年 3月 東北大学大学院薬学研究科博士課程前期 修了
1997年 5月 大阪逓信病院薬剤科 入職
2003年12月 京都大学医学部附属病院薬剤部 入職
所属学会
日本医療薬学会、日本医薬品情報学会
しかし、報告手段は現在もFAXが中心であり、増加するレポートの登録業務を担当する病院薬剤師の負担が増えてきている。煩雑な登録作業や記録の管理は連携の障壁となり、薬局で得られた情報を有効に活用できないおそれがあるため、この負担を軽減し、より効率的で効果的な情報共有を行うことは課題のひとつとなっている。
京都大学医学部附属病院(以下、当院)では、院外処方箋のFAX送信システムデータを利用し、保険薬局にて処方箋情報に紐付き電子的にトレーシングレポートを作成できるシステム(AAdE-Report)を株式会社ファインデックスと共同開発し、2023年3月より運用開始した。このシステム導入により、電子カルテへの転記やスキャン依頼などの事務的な処理にかかる時間を大幅に削減することができた。迅速で効率的な情報共有により、本来の目的である患者情報の把握や個別的な対応に重点を置くことが可能となっている。
また、報告した薬局への返信が十分に実施されていないことも課題として挙げられるが、本システムではチャット機能を有しており、薬局からの軽微な問い合わせや、医療機関からの返信に活用することが可能である。連携強化をさらに進め、より安心で安全な医療コミュニティの構築に貢献できると考えられる。
電子トレーシングレポートシステムは、カルテへの誤登録や紙媒体の紛失リスク回避、印刷やFAX送信にかかるコストを削減し、医療従事者間の連携を円滑にして医療の安全性と質を高め、業務の効率化にも貢献する有用なツールとなってきている。2025年6月に報告されたレポートは434件で、このうち電子トレーシングレポートシステムを利用した報告は318件と70%以上を占めている。本発表では、システムの概要と当院での運用・活用事例について紹介する。
【略歴】
1995年 3月 東北大学薬学部 卒業
1997年 3月 東北大学大学院薬学研究科博士課程前期 修了
1997年 5月 大阪逓信病院薬剤科 入職
2003年12月 京都大学医学部附属病院薬剤部 入職
所属学会
日本医療薬学会、日本医薬品情報学会
