Presentation Information
[T13-O-25]Resurgence and demise of stromatoporoids as reef-builders on a Carboniferous Panthalassan seamount
*Yoichi Ezaki1, Mitsuru Masui2, Koichi Nagai3, Gregory E. Webb4, Koki Shimizu2, Shota Sugama2, Natsuko Adachi1, Tetsuo Sugiyama5 (1. Osaka Metropolitan University, Graduate School of Science, 2. Osaka City University, Graduate School of Science, 3. University of the Ryukyus, Faculty of Science, 4. The University of Queensland, School of the Environment, 5. Fukuoka University, Faculty of Science)
【ハイライト講演】層孔虫はシルル紀とデボン紀で生物礁の主要な形成者であり,後期デボン紀の絶滅事変で大ダメージを受けたが,その後の石炭紀ではその存在や造礁作用についてほとんど理解されていない.本講演では,石炭紀に形成された秋吉石灰岩層群において,層孔虫が生物礁を形成し,その後別の造礁性生物にとって代わられたことを明らかにしている.孤立した海洋島が,層孔虫にとっての一時的な“refugia”であった可能性がある.(ハイライト講演とは...)
Keywords:
Carboniferous,stromatoporoids,reef,Panthalassa,Akiyoshi
層孔虫は,シルル紀とデボン紀に床板サンゴとともに礁の主要な形成者であった.層孔虫は,後期デボン紀の絶滅事変によって大きなダメージを受け,石炭紀における層孔虫の存在や造礁作用についてはほとんど理解されていない.本発表では,山口県に分布する秋吉石灰岩層群(とくにペンシルバニアン亜紀最前期のバシキーリアン期)における「層孔虫による造礁作用」と,石炭紀における「層孔虫の復活と終焉」に言及する.
パンサラッサ海の海山上で形成された秋吉石灰岩層群のバシキーリアン階では,礁核環境が発達し,礁環境が側方に分化していた(Nagai et al., 2007).そこでは,「水平方向のラミナ構造」と「上に凸の組織が上方に重なり合うcone-in-cone構造」からなる骨格生物が豊富で,同時に産出するようになったケーテテスとともに礁の構築に大きく寄与している.骨格生物の形態は,前期オルドビス紀(フロイアン期)に出現したlabechiid型層孔虫に酷似している.礁核部の中でも,最も顕著な地形的な高まりを示す礁嶺部では,層孔虫とケーテテスが交互に積み重なり合い,波浪抵抗性が強い堅牢な構造物を形成している.
礁を形成する層孔虫は,最後期デボン紀の絶滅事変(ハンゲンベルク危機)後もパンサラッサ海で生き延び,熱帯域の温暖な海山上でバシキーリアン期に再出現した.層孔虫が,既に寒冷な気候が支配的であったミシシッピアン亜紀に,どこで,どのように生き延びていたのかは不明である.バシキーリアン期以降,地球規模での氷河作用が継続した結果,海洋循環,湧昇,栄養供給が強化された.そして,とくに海山の浅海域では炭酸塩飽和度が上昇し,高石灰化海綿(hypercalcified sponge)であるケーテテスや層孔虫の繁栄に好都合であった可能性が考えられる.「ケーテテス-層孔虫礁」は,カシモビアン期まで継続して形成された.しかし,同時期の大規模な寒冷化と頻繁に生じた陸上露出が原因で崩壊し,「Palaeoaplysina-石灰藻類礁」に置き換えられた.バシキーリアン期における層孔虫の出現は,層孔虫は,少なくともパンサラッサ海では,後期デボン紀の絶滅事変後も造礁生物として存続したことを示している.広大な海洋中でも,秋吉海山のような孤立した海洋環境の証拠は稀にしか保存されないが,地球規模での生物地理や生物進化の解明にきわめて重要である.
[引用文献]Nagai, K., Kido, E., and Sugiyama, T., 2007, Late Palaeozoic oceanic reef complex, Akiyoshi Limestone, Japan, in Vennin E., Aretz, M, Boulvain, F., and Munnecke, A., eds., Facies from Palaeozoic Reefs and Bioaccumulations: Memires du Museum national d’Historire naturelie, Tome 195, p. 257–259.
パンサラッサ海の海山上で形成された秋吉石灰岩層群のバシキーリアン階では,礁核環境が発達し,礁環境が側方に分化していた(Nagai et al., 2007).そこでは,「水平方向のラミナ構造」と「上に凸の組織が上方に重なり合うcone-in-cone構造」からなる骨格生物が豊富で,同時に産出するようになったケーテテスとともに礁の構築に大きく寄与している.骨格生物の形態は,前期オルドビス紀(フロイアン期)に出現したlabechiid型層孔虫に酷似している.礁核部の中でも,最も顕著な地形的な高まりを示す礁嶺部では,層孔虫とケーテテスが交互に積み重なり合い,波浪抵抗性が強い堅牢な構造物を形成している.
礁を形成する層孔虫は,最後期デボン紀の絶滅事変(ハンゲンベルク危機)後もパンサラッサ海で生き延び,熱帯域の温暖な海山上でバシキーリアン期に再出現した.層孔虫が,既に寒冷な気候が支配的であったミシシッピアン亜紀に,どこで,どのように生き延びていたのかは不明である.バシキーリアン期以降,地球規模での氷河作用が継続した結果,海洋循環,湧昇,栄養供給が強化された.そして,とくに海山の浅海域では炭酸塩飽和度が上昇し,高石灰化海綿(hypercalcified sponge)であるケーテテスや層孔虫の繁栄に好都合であった可能性が考えられる.「ケーテテス-層孔虫礁」は,カシモビアン期まで継続して形成された.しかし,同時期の大規模な寒冷化と頻繁に生じた陸上露出が原因で崩壊し,「Palaeoaplysina-石灰藻類礁」に置き換えられた.バシキーリアン期における層孔虫の出現は,層孔虫は,少なくともパンサラッサ海では,後期デボン紀の絶滅事変後も造礁生物として存続したことを示している.広大な海洋中でも,秋吉海山のような孤立した海洋環境の証拠は稀にしか保存されないが,地球規模での生物地理や生物進化の解明にきわめて重要である.
[引用文献]Nagai, K., Kido, E., and Sugiyama, T., 2007, Late Palaeozoic oceanic reef complex, Akiyoshi Limestone, Japan, in Vennin E., Aretz, M, Boulvain, F., and Munnecke, A., eds., Facies from Palaeozoic Reefs and Bioaccumulations: Memires du Museum national d’Historire naturelie, Tome 195, p. 257–259.
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