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[T12-P-10]Development and evaluation of a method for estimating flood hydraulic parameters using machine learning: a case study of crevasse-splay deposits from the 2024 Okunoto heavy rainfall★2026年度学生優秀発表賞受賞★

*Wataru KOMATSU1, Masaki Yamada2, Hajime Naruse1, Gen Sasamoto2 (1. Kyoto University, 2. Shinshu University)
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【ハイライト講演】本発表では,機械学習を用いて破堤堆積物から洪水時の水理条件を定量的に復元する手法を試行している.堆積学とデータサイエンスを融合した逆解析技術はこれまで津波堆積物研究で適用された例があるが,多様な堆積イベントの解析に用いることが可能になれば,将来的には様々な地質ハザード評価の高度化への貢献が期待される.※ハイライト講演とは...

Keywords:

crevasse splay deposits,machine learning


 河川氾濫によって形成される破堤堆積物は,それを形成した洪水の規模や時間変化を記録する痕跡である.既往研究では,現世の破堤堆積物の堆積相や分布傾向に基づき,洪水流の流向や流速の時空間的変化が復元されてきた.こうした堆積学的解釈を検証し,過去の洪水規模をより詳細に見積もるためには,流動厚,継続時間,流速,土砂濃度といった洪水水理量の定量評価が不可欠である.しかし,破堤堆積物の堆積学的特徴から洪水水理量を定量復元する手法は確立されていない.これに対し,津波堆積物の分野では,機械学習の手法を用いることで津波堆積物の層厚および粒度分布から津波の水理量を復元する逆解析手法が提案されている.そこで本研究では,津波堆積物分野で提案された逆解析手法を破堤堆積物に応用し,層厚・粒度分布から洪水流の流動厚,継続時間,流速,土砂濃度を定量的に復元する洪水流平面2次元逆解析モデルの構築を試みた.最終的に,2024年奥能登豪雨で形成された破堤堆積物に適用し,実堆積物への適用可能性を検証した.
逆解析に用いる試料採取のため,2024年9月の奥能登豪雨に伴って堤防が決壊した石川県輪島市の浦上川流域を対象として,破堤堆積物の現地調査を実施した.ドローン撮影による地形の差分解析を行うとともに,氾濫原上において計65地点で堆積物の掘削を行い,堆積学的特徴を記載した.その後,各掘削地点で採取された堆積物試料に対して,CT画像解析および粒度分析を実施した.得られたデータをもとに,堤防の決壊によって形成された堆積層の識別および逆解析に使用する層厚・粒度の空間分布データを作成した.本研究の逆解析では,破堤堆積物が分布している浦上川流域のDEMデータを用いた洪水流平面2次元逆解析モデルを構築した.教師データの生成にあたっては,洪水流の土砂移動を表現する順解析モデルを用いた.各水理量は現実的に想定される範囲として,流動厚2.0~7.0 m,流動継続時間1600~1800秒,流速0.5~7.0 m/s,3粒径(739 μm,280 μm,106 μm)における土砂濃度0.001~0.04%で設定した.これらの水理量は堤防決壊地点から約3 m上流の川領域に境界条件として入力し,350ケースの人工データセットを生成した.これらのデータセットを学習用・検証用データセットに分割し,洪水水理量と堆積物の層厚・粒度分布との対応関係をニューラルネットワークに学習させた.過学習の有無を確認するために検証用データセットを用いて検証を行った.その後,トレーニングによって構築された逆解析モデルに現地調査で得た堆積物の層厚・粒度分布データを入力して水理量の復元を行った.最後に,復元された水理量を用いて,堆積と侵食を考慮した順解析モデルを実行し,得られた浸水深と各地点における各粒径ごとの堆積物量を実際のデータと比較した.前者は洪水時に撮影された写真記録と,後者は実測の堆積物量との比較を行った.
浦上川右岸の決壊した堤防の背後において,下位の灰色層と上位の褐色層の2層に分かれた最大層厚104 cmの砂質の破堤堆積物が観察された.下位の灰色層は,植物片を多量に含み上方細粒化傾向が見られた.上位の褐色層は,平行・斜交葉理の発達が顕著であった.洪水初期の比較的緩やかな氾濫によって下位の灰色層が堆積し,堤防の決壊後の洪水流によって上位の褐色層が堆積することで形成されたと考えられる.本研究では,堤防決壊後の洪水流によって形成されたと考えられる上位の褐色層に対して逆解析手法を適用し,破堤段階における洪水水理量の復元を行った.人工データによる検証の結果,本モデルは継続時間を除くすべてのパラメータを高精度に推定した.褐色層の層厚・粒度分布データに本モデルを適用した結果,流動厚3.58 m,継続時間1700 s,流速1.47 m/s,総土砂濃度1.05%といった水理量が推定された.本モデルは現実的に想定される範囲内の水理量を復元することに成功した.その水理量を用いた順解析の結果,氾濫原内の浸水深は洪水時の写真記録から推定される浸水深と概ね一致した.一方,堆積物量の推定値は地点によって実測値に近い値を示したものの,多くの地点で±0.1~0.6 mほど実測値との差が認められた.以上の結果から,人工データを用いた検証では,破堤堆積物の層厚・粒度分布から決壊地点上流の河道内水理量が復元可能であることが示された.一方で,実データへの適用では,推定値を用いた順解析において堆積物量を再現できなかった.今後は,実測値に対する堆積物量の再現性を向上させるため,順解析モデルにおける土砂輸送過程の改良を検討する必要がある.

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