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[T12-P-16]Double-Layered Structures of Concretions Record Rapid, pH-controlled Growth in Early Diagenesis★2026年度学生優秀発表賞受賞★

*Alvin Loran Yamaguchi Praet1, Hidekazu Yoshida2, Akihiro Kano3, Yoshihiro Asahara4, Koshi Yamamoto2, Taro Kido1, Yusuke Muramiya5, Nagayoshi Katsuta6, Ayako Umemura2 (1. The University of Tokyo, 2. Nagoya University Museum, 3. Tokyo University of Marine Technology and Science, 4. Nagoya University, 5. Fukada Geological Institute, 6. Gifu University)
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【ハイライト講演】炭酸塩コンクリーション(ノジュール)は砕屑岩中にしばしば見られ,内部に化石を含んでいることも多い.それは単なる偶然ではなく,化石となった生物遺骸の有機物が関係しているというのが最近の理解である.本講演では,ベレムナイトおよびアンモナイトを核とした炭酸塩コンクリーションについて,間隙水のpHや溶存無機炭素濃度変化などを復元することで,その詳細な形成過程が示される.  ※ハイライト講演とは...

Keywords:

Double-layered concretion,Early diagenesis,pH,Apatite,Stable isotopes


 炭酸塩コンクリーションは、堆積物中の広域および局所的な初期続成作用を記録する重要な地質学的アーカイブである。従来、コンクリーションの形成は、埋没深度の増加に伴う広域的な間隙水組成の変化に基づいて解釈されることが多かった (e.g., Loyd et al., 2012)。一方で近年、生物遺骸の分解に伴って発達する地球化学的な微小環境が、コンクリーションの急速な形成に密接に関わっていることが示唆されている (Yoshida et al., 2015)。その詳細なプロセスを解き明かす上で、炭酸カルシウム(CaCO3)による空隙充填を駆動する微小環境の発達過程や、コンクリーションの形状・内部構造を規定する詳細要因の同定は不可欠である。特に炭酸塩の沈殿はpHに強く依存するため、生物遺骸周辺で発達する局所的なpH環境が、コンクリーションの形成に与える影響を明らかにすることが重要である。そこで本研究では、ドイツ南部 Buttenheim の下部ジュラ系Amaltheenton Formationより産出した二重層コンクリーションに着目し、核–外殻構造の形成過程を検討した。
 Amaltheenton Formationでは、有機物を豊富に含む粘土層中より炭酸塩コンクリーションが豊富に産出し、主にアンモナイトやベレムナイトなどの生物遺骸を中心として発達する (Merkel & Munnecke, 2023)。特定の層準のみから産出する二重層コンクリーションは、主に生物遺骸を包含する核とそれを取り囲む外殻からなり、核の縁には白色帯が発達する (図a, b)。核はしばしば生物遺骸の殻口周辺から染み出すような形状を示すのに対し、外殻は全体として球状〜楕円体状の形態を示す。EPMAによる元素マッピングおよびICP-MSによる定量分析の結果、核および白色帯では外殻に比べてリンが相対的に濃集しており、アパタイトの沈殿が示唆された。アパタイトと炭酸カルシウムの沈殿はpH条件に強く依存し、低pH条件下ではカルサイト沈殿が抑制される一方でアパタイトの形成が促進される (Briggs & Wilby 1996)。したがって、核で認められるリン濃集は、生物遺骸の分解に伴って一時的な低pH領域が形成されたことを示す直接的な証拠であり、核の形状はその低pH領域の空間分布を反映していると考えられる。
 炭素・酸素の安定同位体比は、複数の炭酸塩相の混合を示している。主要な炭酸塩相は、有機物分解に由来する溶存無機炭素 (DIC) から沈殿した炭酸塩相 (Phase A) と解釈され、核および外殻の両方に分布が認められる。一方、より後期の続成過程における間隙水由来の炭酸塩 (Phase B) は核の縁や外殻の縁など、初期セメント化が不十分であった領域の残留空隙を補完的に充填したと考えられる。外殻が炭素源を中心とした球状〜楕円体状の形状を示すことから、外殻の沈殿領域は、生物遺骸の分解により生成した有機物起源DICが周囲へ等方的に拡散し、低pH領域の外側まで炭酸塩が過飽和に達した範囲を反映していると考えられる。すなわち、低pH領域内では炭酸塩の沈殿が一時的に抑制されたため、有機物起源DICはその外側へ拡散し、外殻領域で先行して沈殿した。その後、低pH環境の消失に伴って核内部でも炭酸塩沈殿が進行し、さらに残留空隙が後期続成段階の炭酸塩相によって充填されたと解釈できる可能性がある。
 これらの結果は、筆者らがこれまで検討してきた北海道厚田層の二重層球状コンクリーションの形成モデルとも整合的であり、生物遺骸分解に伴う低pH微小環境が、コンクリーション形成における一般的な制御要因である可能性を示唆する。二重層構造の有無は、低pH環境の持続時間(Tacid)と、有機物起源DICが低pH領域外へ拡散して過飽和に達するまでの時間(Tdiff)との相対関係によって整理できる。二重層構造は、Tdiff < Tacid が満たされる場合に形成されると考えられる。生物遺骸の分解過程における低pH環境は一過性の現象であり、実験的には数日〜数ヶ月程度で消失することが示されている(e.g., Zhu et al., 2006)。したがって、コンクリーションの核–外殻構造の形成、すなわち外殻までの沈澱領域の決定は、低pH環境の持続時間(Tacid)と同程度の急速な時間スケールで進行した可能性が高い。

【引用文献】
Briggs & Wilby, 1996, Journal of the Geological Society, London, 153, 665–668.
Loyd et al., 2012, Journal of Sedimentary Research, 82, 1006–1016.
Merkel & Munnecke, 2023, Facies, 69, 10.
Yoshida et al., 2015, Scientific Reports, 5, 14123.
Zhu et al., 2006, Geochimica et Cosmochimica Acta, 70, 4933–4949.

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