Presentation Information
[G-P-40]New zircon U–Pb age from Cretaceous granitoid in the Okushiri Island, Hokkaido
*Koh KUBOMI1, Kazuya SHIMOOKA2,3, Mitsuhiro NAGATA4, Sota NIKI5, Takafumi EN'YA1, Takafumi HIRATA6 (1. Hokkaido Mus., 2. Ehime Univ., 3. Kwansei Gakuin Univ., 4. Nihon Univ., 5. Nagoya Univ., 6. Univ. Tokyo)
Keywords:
Cretaceous granitoid,Zircon,U–Pb dating,Hokkaido,Okushiri Island
はじめに
北海道西南部の渡島帯から東北地方の北部・南部北上帯や阿武隈帯にかけて,白亜紀の深成岩体が広く分布する(土谷,2010など).北海道日本海側の奥尻島に分布する花崗閃緑岩を主体とする奥尻岩体(以下、本岩体)からは,全岩化学組成,微量元素組成,帯磁率,およびK–Ar年代などが報告されており,これらのデータから本岩体が阿武隈帯に帰属されるか,北上花崗岩類に対比されるかについてこれまで議論されてきた(例えば,川野ほか,1993など).阿武隈帯への帰属は,1)本岩体の花崗閃緑岩が約102–95 MaのK–Ar年代(柴田・山田,1978;柴田ほか,1984)を示し,阿武隈帯の深成岩体が示す放射年代と類似すること,2)Sr同位体比初生値(SrI)が0.7053と阿武隈帯のSrI の範囲(0.7047–0.7055)内に含まれることに基づき提案されている(柴田・山田,1978;Shibata and Ishihara, 1979など).しかし,その根拠の一つである黒雲母K–Ar年代については,本岩体が鉱化作用に伴う熱水変質を被っており,測定に使用された黒雲母の一部が緑泥石化を受けていることが指摘されている(久保,1982).また,本岩体は,1)磁鉄鉱系列に属すること,2)花崗閃緑岩中に斑れい岩を伴うことなど,北上花崗岩類と共通する岩石学的特徴を有することから,北上花崗岩類に対比される見解もある(久保・髙橋,1992).以上を踏まえ,マグマの結晶化年代を保持するジルコンU–Pb年代測定を本岩体に適用し,全岩化学組成分析結果も併せて,本岩体の形成年代およびその帰属について再検討する.
地質概説・岩石記載
奥尻島の先新第三紀基盤岩類は奥尻層,藻内火山岩類,および白亜紀花崗岩類から構成される(久保,1982).本岩体は角閃石黒雲母花崗閃緑岩を主体とし,部分的に黒雲母花崗岩,グラノファイアー,アプライトなどからなり,一部に斑れい岩の捕獲岩を伴う(久保,1982).奥尻島東岸の本岩体から採取した試料Oks-1は,粗粒で優白色を呈し,主として斜長石,石英,黒雲母,アルカリ長石,および角閃石からなる.また,副成分鉱物として不透明鉱物,ジルコン,および燐灰石,変質鉱物として緑泥石などを含む.
モード測定の結果,色指数は約21 %で,花崗閃緑岩に分類され,有色鉱物の構成量比から角閃石黒雲母花崗閃緑岩であると示された.花崗閃緑岩中には約5 cmのMMEが含まれる.MMEは急冷縁を示さず,ホストの花崗岩由来のゼノクリストを伴う.
結果・考察
試料Oks-1から得られたジルコン23点から101.3 ± 0.3 Ma(2s)U–Pb年代の加重平均値を得た.この年代は既報の角閃石および黒雲母K–Ar年代(102 ± 4 Ma,99.5 ± 3.1 Ma)と不確かさ範囲で重なる.また,角閃石および黒雲母のK–Ar系の閉鎖温度はそれぞれ約500–600 ℃および約350–450 ℃であり,ジルコンU–Pb系の閉鎖温度が900℃以上であることから,熱水変質によるK–Ar年代の若返りの可能性は残るものの,不確かさ範囲を考慮すると,地下深部でのジルコン晶出から本岩体の冷却イベントは約101–96 Maの間に起こったと解釈できる.また,約101 Maのジルコン年代は,北上花崗岩類から報告されているジルコンU–Pb年代(約127–119 Ma;土谷ほか,2015;Osozawa et al., 2019)よりも約20 M.y.若いことになるが,阿武隈帯の花崗岩類から報告されているジルコンU–Pb年代(約115–96 Ma;Kon et al., 2015,Osozawa et al., 2019)とは調和的である.アダカイトの判別で用いられるSr/Y-Y図では,試料Oks-1は阿武隈帯の花崗岩類や北上花崗岩類と同様の傾向を示した.従って,本岩体の帰属をジルコンU–Pb年代や微量元素組成から再検討すると,阿武隈帯の花崗岩類に対比されると解釈できる.一方,本岩体が前期白亜紀火山岩類を伴う点や磁鉄鉱系列であるといった記載岩石学的特徴(川野ほか,1993)は,北上花崗岩類と類似するため,今後,渡島帯に分布する他の白亜紀深成岩類のジルコンU–Pb年代も含めて検討する必要がある.
引用文献
川野ほか, 1993, 岩鉱, 88, 447–456. / 久保, 1982, 地調月報,33, 11–22. / 久保・高橋, 1992, 地団研46回総会要旨集, 111–115. / Kon et al., 2015, J. Min. Petrol. Sci., 110, 145–149. / Osozawa et al., 2019, J.Asian Earth Sci., 184, 103968. / Shibata and Ishihara, 1979, Contrib. Min. Petrol., 70, 381–390. / 柴田ほか, 1984, 地調月報, 35, 331–340. / 柴田・山田, 1978, 地調月報, 29, 611–613. / 土谷, 2010, 日本地方地質誌1, 北海道地方, 86–92. / 土谷ほか, 2015, 岩石鉱物科学, 44, 69–90.
北海道西南部の渡島帯から東北地方の北部・南部北上帯や阿武隈帯にかけて,白亜紀の深成岩体が広く分布する(土谷,2010など).北海道日本海側の奥尻島に分布する花崗閃緑岩を主体とする奥尻岩体(以下、本岩体)からは,全岩化学組成,微量元素組成,帯磁率,およびK–Ar年代などが報告されており,これらのデータから本岩体が阿武隈帯に帰属されるか,北上花崗岩類に対比されるかについてこれまで議論されてきた(例えば,川野ほか,1993など).阿武隈帯への帰属は,1)本岩体の花崗閃緑岩が約102–95 MaのK–Ar年代(柴田・山田,1978;柴田ほか,1984)を示し,阿武隈帯の深成岩体が示す放射年代と類似すること,2)Sr同位体比初生値(SrI)が0.7053と阿武隈帯のSrI の範囲(0.7047–0.7055)内に含まれることに基づき提案されている(柴田・山田,1978;Shibata and Ishihara, 1979など).しかし,その根拠の一つである黒雲母K–Ar年代については,本岩体が鉱化作用に伴う熱水変質を被っており,測定に使用された黒雲母の一部が緑泥石化を受けていることが指摘されている(久保,1982).また,本岩体は,1)磁鉄鉱系列に属すること,2)花崗閃緑岩中に斑れい岩を伴うことなど,北上花崗岩類と共通する岩石学的特徴を有することから,北上花崗岩類に対比される見解もある(久保・髙橋,1992).以上を踏まえ,マグマの結晶化年代を保持するジルコンU–Pb年代測定を本岩体に適用し,全岩化学組成分析結果も併せて,本岩体の形成年代およびその帰属について再検討する.
地質概説・岩石記載
奥尻島の先新第三紀基盤岩類は奥尻層,藻内火山岩類,および白亜紀花崗岩類から構成される(久保,1982).本岩体は角閃石黒雲母花崗閃緑岩を主体とし,部分的に黒雲母花崗岩,グラノファイアー,アプライトなどからなり,一部に斑れい岩の捕獲岩を伴う(久保,1982).奥尻島東岸の本岩体から採取した試料Oks-1は,粗粒で優白色を呈し,主として斜長石,石英,黒雲母,アルカリ長石,および角閃石からなる.また,副成分鉱物として不透明鉱物,ジルコン,および燐灰石,変質鉱物として緑泥石などを含む.
モード測定の結果,色指数は約21 %で,花崗閃緑岩に分類され,有色鉱物の構成量比から角閃石黒雲母花崗閃緑岩であると示された.花崗閃緑岩中には約5 cmのMMEが含まれる.MMEは急冷縁を示さず,ホストの花崗岩由来のゼノクリストを伴う.
結果・考察
試料Oks-1から得られたジルコン23点から101.3 ± 0.3 Ma(2s)U–Pb年代の加重平均値を得た.この年代は既報の角閃石および黒雲母K–Ar年代(102 ± 4 Ma,99.5 ± 3.1 Ma)と不確かさ範囲で重なる.また,角閃石および黒雲母のK–Ar系の閉鎖温度はそれぞれ約500–600 ℃および約350–450 ℃であり,ジルコンU–Pb系の閉鎖温度が900℃以上であることから,熱水変質によるK–Ar年代の若返りの可能性は残るものの,不確かさ範囲を考慮すると,地下深部でのジルコン晶出から本岩体の冷却イベントは約101–96 Maの間に起こったと解釈できる.また,約101 Maのジルコン年代は,北上花崗岩類から報告されているジルコンU–Pb年代(約127–119 Ma;土谷ほか,2015;Osozawa et al., 2019)よりも約20 M.y.若いことになるが,阿武隈帯の花崗岩類から報告されているジルコンU–Pb年代(約115–96 Ma;Kon et al., 2015,Osozawa et al., 2019)とは調和的である.アダカイトの判別で用いられるSr/Y-Y図では,試料Oks-1は阿武隈帯の花崗岩類や北上花崗岩類と同様の傾向を示した.従って,本岩体の帰属をジルコンU–Pb年代や微量元素組成から再検討すると,阿武隈帯の花崗岩類に対比されると解釈できる.一方,本岩体が前期白亜紀火山岩類を伴う点や磁鉄鉱系列であるといった記載岩石学的特徴(川野ほか,1993)は,北上花崗岩類と類似するため,今後,渡島帯に分布する他の白亜紀深成岩類のジルコンU–Pb年代も含めて検討する必要がある.
引用文献
川野ほか, 1993, 岩鉱, 88, 447–456. / 久保, 1982, 地調月報,33, 11–22. / 久保・高橋, 1992, 地団研46回総会要旨集, 111–115. / Kon et al., 2015, J. Min. Petrol. Sci., 110, 145–149. / Osozawa et al., 2019, J.Asian Earth Sci., 184, 103968. / Shibata and Ishihara, 1979, Contrib. Min. Petrol., 70, 381–390. / 柴田ほか, 1984, 地調月報, 35, 331–340. / 柴田・山田, 1978, 地調月報, 29, 611–613. / 土谷, 2010, 日本地方地質誌1, 北海道地方, 86–92. / 土谷ほか, 2015, 岩石鉱物科学, 44, 69–90.
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