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[G-P-43]New Insights into the Distribution of Terrestrial Deposits in the Lower Miocene Kurosedani Formation, Southern Toyama Prefecture

*Misako Kiriyama1, Shinichi Sano1 (1. Toyama Univ.)
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【ハイライト講演】黒瀬谷層はVicaryaで知られる日本海拡大期の海進を記録を残す地層であり,これまで種々研究が行われてきたが,東部と西部・陸成層と海成層との対比で若干混乱した状況にある.桐山美咲子氏は八尾地域の黒瀬谷層について堆積相をメインに踏査を行った結果,陸成層が海成層と複雑に指交していること,更に急激な深海化を示す層相変化を発見した.これは日本海形成初期の環境変化をビビッドに描像する契機となろう. ※ハイライト講演とは...

Keywords:

Kurosedani Fauna,Miocene


 黒瀬谷層は,富山県南部の東西方向に広く分布する,新第三紀前期中新世末の地層である(津田・千地,1950;中嶋ほか,2019).本層は礫岩・砂岩・泥岩およびこれらの互層からなり,水平方向及び層序方向の岩相変化が著しい.分布域の西部では医王山層,東部では岩稲層という,共に火山岩・火砕岩を中心とする層を整合に覆い,泥質岩が卓越する,東別所層に整合に覆われる.本層の厚さは,分布域西部の山田川流域で約750 mとされる.本層を含む八尾層群は,北陸地域の新第三系模式層序の一つとして,古くから数多くの層序学的研究が行われてきた.また,本層は,Anadara やVicaryaなど,いわゆる八尾-門ノ沢動物群(Chinzei,1986)に属する浅海棲貝化石のほか,Stegolophodonといった陸上哺乳類化石など,多様な化石の産出でも著名である.さらに,マングローブ沼の存在を示すGeloinaやTelescopiumなどの貝化石やマングローブ植物の花粉化石など,亜熱帯気候下の汽水環境の存在を示唆する化石の産出でも注目されてきた.一方,黒瀬谷層とその上位の東別所層の古地磁気学的検討から,両層の堆積時に西南日本の時計回り回転運動が生じたと推測されており(Tamaki et al.,2006;星,2018),黒瀬谷層には,日本海形成期のテクトニクスや堆積盆形成過程が記録されている可能性がある.黒瀬谷層の研究史初期には,本層に,陸から浅海におよぶ,多様な堆積環境が存在することが知られていたが,1980年代以降は,海成層が主体で微化石層序が検討しやすい,分布域の西部で主に研究がなされるようになり,黒瀬谷層は八尾層群における最初の海進を示す海成層として取り扱われることが多い.その結果,黒瀬谷層における陸成層と海成層の対比や,多様な堆積環境の地理的・層序学的分布などの実態が十分に解明されているとは言いがたい.今回,黒瀬谷層の模式地を含み,かつ,神通川東岸(従来,陸成層とされていた層序)と本層分布域西部(海成層からなる層序)との間に位置する,八尾地域の黒瀬谷層について,多様な堆積環境とその変遷の解明を目指して,地質調査を行ったところ,新たな事実が判明したので予察的に報告する. 本調査によって,望月ほか(2024)で既に報告された,大沢野地区春日の神通川右岸の露頭に加えて,より西方にあたる八尾地区青根の野積川河床,八尾地区柚木の室牧川右岸の露頭においても,立木と考えられる炭化した木の化石を新たに発見した.立木化石は陸上環境を示すと考えられ,黒瀬谷層堆積時に,陸域が従来知られていた地域よりも,より西方にまで存在していたことを示唆する.なお,坂本・野沢(1960)は室牧川沿いの黒瀬谷層最下部付近に陸成の可能性がある室牧礫岩部層の存在を示しているが,柚木はより上位層準にあたり,本地域(現在の室牧川流域)においては,黒瀬谷層の堆積時に陸上環境がある程度継続して存在していたことになる.ところで,浅海棲貝化石の産地として著名な土川流域や久婦須川流域の掛畑は,神通川と野積川の間に位置しており,陸から浅海環境への変化は,津田が想定したように,古神通川流域から西方に一方的に深くなるという単純なものではなく,海陸境界付近では,陸上環境と浅海環境が指交関係で,あるいはモザイク状に分布していたものと推察される. また,野積川沿いの黒瀬谷層の層序では,立木が確認された地点から層厚にして800 m上位に当たる地点において,深海環境を示唆する砂岩泥岩互層やスランプ堆積物が観察され,急激な深海化や堆積環境の不安定化が記録されているものと解釈される.また,より上位の東別所層は一般に泥質の岩相が卓越し,かつ広範囲に分布しており,黒瀬谷層に認められる様な,岩相の著しい側方変化や上方深海化などの環境変化は確認されてない.従って,八尾地域の黒瀬谷層には,日本海形成期の,海陸境界付近における堆積環境の複雑な分布や,陸域から浅海へ,さらに急激な深海に至る,堆積環境の急激な変化が記録されている可能性が高い.今後は,黒瀬谷層の各分布域の堆積環境をより詳細に把握するとともに,より広域での層序対比を行うことで,日本海形成期における,海陸境界付近での堆積環境変化や,その変化をもたらしたテクトニックな背景が解明されることが期待される. <引用文献>津田禾粒・千地万造,1950,地質雑,56,303–304.中嶋健ほか,2019,地質雑,125,483–516.坂本亨・野沢保,1960,5万分の1地質図幅「八尾」.地質調査所,69p.Chinzei,K.,1986,Paleontological Society in Japan Special Paper,17-29.Tamaki et al.,2006,Bull. Geol. Surv. Japan,57,73–88.星博幸,2018,地質雑,124,675–691.望月ほか,2024,日本地質学会第131年学術大会講演要旨,T15-O-18.

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