Presentation Information
[G-P-46]Depositional environment and age of the Fukuchiyama Formation, the Middle Pleistocene in northern Kyoto Pref.
*Taiki ADACHI, Atsuo KOTAKI1 (1. Kyoto Pref. Univ.)
Keywords:
Pleistocene,Fukuchiyama Formation,Tephra
はじめに
京都府福知山市篠尾(羽合)地区に分布する高位段丘地形を構成する地層は福間・藤田(1986)によって中期更新統,福知山層の模式地とされた.岡田・高橋(1969)は,福知山層堆積当時の由良川は,南流して瀬戸内海へ注いでいた,とした.Kotaki et al.(2011)は,篠尾地域の福知山層のうち,福間・藤田(1986)がSabia japonica, Paliurus など暖温帯~亜熱帯を示す植物遺体を報告した粘土層からテフラを見出して大山cpmテフラに対比し,この粘土層を大阪層群のMa9(MIS11)に対比した.
最近,この地域の開発に伴う土木工事によって,更新統の新しい露頭が出現する一方,短期間で被覆あるいは消滅している.今回は,2023年以来,工事の合間を縫って行ってきた観察の結果を報告し福知山層の堆積環境と年代を考察する.
福知山層の堆積物
1)上記の火山灰露頭の南方で宅地造成工事が行われ,扇状地あるいは網状河川を示す砂礫層,土石流堆積物,湖沼あるいは湿地の細粒堆積物が約15mの厚さにわたって観察できた.砂礫層と細粒なシルト,粘土層が繰り返して堆積している.下位より①標高30m付近は,礫を主とする層で,そのインブリケーションからは北向きの流れが復元できる.②その上位の扇状地性の礫層の斜交層理は東向きの流れを示している.③その上位には厚い粘土層が堆積して,植物遺体が分解したピート層をはさむ.湖沼が形成されたことを示している.④さらに上位の標高35m付近では,薄い礫層をはさんだシルト層では西向きの流れを示す斜交葉理が見られる.小規模な湖沼のデルタの堆積物で,デルタが西方向に前進したと考えられる.⑤さらに上位の標高35~40m付近では,上方粗粒化した砂礫層が繰り返し堆積し,土石流が流入したことを示している.⑥最上位の標高40m付近は粘土層で根痕が多くみられ,湖畔湿地の環境であったと考えられる.
2)上の露頭の南~南東方では,グランド造成のために高位段丘構成層の掘削工事が行われ,広い範囲で露頭が出現し,露頭観察を行った.約20mの厚さの地層を断続的に観察できた.地層は下位より①標高30~35mではシルト・粘土層をはさむ砂礫層が主体であった.礫種として,砂岩・泥岩のほか,チャート,花崗岩類,苦鉄質火成岩が見られる.礫のインブリケーションから北向きの流れがあった.②標高37m付近では広い範囲で青灰色の粘土層がある.植物遺体が密集する箇所もあり,広い湖沼の環境であったと考えられる.部分的の上位の砂礫層が削り込んでいて,土石流が流入したと考えられる.③その上位は3mを超える砂礫層になる.礫のインブリケーションからは東向きの流れが復元できる.下部には泥質の偽礫が多く観察される.④標高39m付近の砂礫層に介在する厚さ1㎝のシルト層からは自形の普通角閃石が抽出でき,その化学組成の分析を(株)蒜山地質年代研究所に依頼し,その結果,上記の大山cpmテフラに対比できると判断した.したがって,堆積年代はMIS11の頃と考えられる.⑤標高45m付近の露頭では,インブリケーションから判断して,西方向,次いで東方向の流れを示す砂礫層をはさんで,⑥さらに上位は地表付近まで,シルト・粘土・砂からなる層である.
まとめ
近畿北部の山間盆地(琵琶湖,神吉盆地など)はMIS11の40万年前頃には形成されていたが(Meyers et al. 1993など),福知山層も同じころに形成された堆積盆の地層である.現在は日本海へそそぐ由良川は,前述のように更新世のある時期まで,南流して瀬戸内海へ注いでいたとされているが,加久藤テフラ(Kkt)が降灰したMIS9の時期でもなお南流していたと考えられる(小滝2022).福知山層堆積当時,この堆積盆には,東方からは丹波山地のチャート礫を供給する河川,北方からは苦鉄質岩礫などを供給する河川が流入し,排水は南方に向かっていたであろう.堆積盆の縁辺近くに位置した本地点では,浅い湖沼の時期,氾濫流が流入して湖沼を埋積する時期を繰り返して.福知山層を形成したと考えられる.
文献:福間敏夫・藤田和夫1986 第四紀研究,24,263-281.
Kotaki A., Katho S., Kitani K.2011 Quaternary International, 246,105-117.
小滝篤夫2022 地球科学,76,31-35.
Meyers et al. 1993 Quaternary Research, 39,154-162.
岡田篤正・高橋健一1969 地学雑誌,78,19-37.
京都府福知山市篠尾(羽合)地区に分布する高位段丘地形を構成する地層は福間・藤田(1986)によって中期更新統,福知山層の模式地とされた.岡田・高橋(1969)は,福知山層堆積当時の由良川は,南流して瀬戸内海へ注いでいた,とした.Kotaki et al.(2011)は,篠尾地域の福知山層のうち,福間・藤田(1986)がSabia japonica, Paliurus など暖温帯~亜熱帯を示す植物遺体を報告した粘土層からテフラを見出して大山cpmテフラに対比し,この粘土層を大阪層群のMa9(MIS11)に対比した.
最近,この地域の開発に伴う土木工事によって,更新統の新しい露頭が出現する一方,短期間で被覆あるいは消滅している.今回は,2023年以来,工事の合間を縫って行ってきた観察の結果を報告し福知山層の堆積環境と年代を考察する.
福知山層の堆積物
1)上記の火山灰露頭の南方で宅地造成工事が行われ,扇状地あるいは網状河川を示す砂礫層,土石流堆積物,湖沼あるいは湿地の細粒堆積物が約15mの厚さにわたって観察できた.砂礫層と細粒なシルト,粘土層が繰り返して堆積している.下位より①標高30m付近は,礫を主とする層で,そのインブリケーションからは北向きの流れが復元できる.②その上位の扇状地性の礫層の斜交層理は東向きの流れを示している.③その上位には厚い粘土層が堆積して,植物遺体が分解したピート層をはさむ.湖沼が形成されたことを示している.④さらに上位の標高35m付近では,薄い礫層をはさんだシルト層では西向きの流れを示す斜交葉理が見られる.小規模な湖沼のデルタの堆積物で,デルタが西方向に前進したと考えられる.⑤さらに上位の標高35~40m付近では,上方粗粒化した砂礫層が繰り返し堆積し,土石流が流入したことを示している.⑥最上位の標高40m付近は粘土層で根痕が多くみられ,湖畔湿地の環境であったと考えられる.
2)上の露頭の南~南東方では,グランド造成のために高位段丘構成層の掘削工事が行われ,広い範囲で露頭が出現し,露頭観察を行った.約20mの厚さの地層を断続的に観察できた.地層は下位より①標高30~35mではシルト・粘土層をはさむ砂礫層が主体であった.礫種として,砂岩・泥岩のほか,チャート,花崗岩類,苦鉄質火成岩が見られる.礫のインブリケーションから北向きの流れがあった.②標高37m付近では広い範囲で青灰色の粘土層がある.植物遺体が密集する箇所もあり,広い湖沼の環境であったと考えられる.部分的の上位の砂礫層が削り込んでいて,土石流が流入したと考えられる.③その上位は3mを超える砂礫層になる.礫のインブリケーションからは東向きの流れが復元できる.下部には泥質の偽礫が多く観察される.④標高39m付近の砂礫層に介在する厚さ1㎝のシルト層からは自形の普通角閃石が抽出でき,その化学組成の分析を(株)蒜山地質年代研究所に依頼し,その結果,上記の大山cpmテフラに対比できると判断した.したがって,堆積年代はMIS11の頃と考えられる.⑤標高45m付近の露頭では,インブリケーションから判断して,西方向,次いで東方向の流れを示す砂礫層をはさんで,⑥さらに上位は地表付近まで,シルト・粘土・砂からなる層である.
まとめ
近畿北部の山間盆地(琵琶湖,神吉盆地など)はMIS11の40万年前頃には形成されていたが(Meyers et al. 1993など),福知山層も同じころに形成された堆積盆の地層である.現在は日本海へそそぐ由良川は,前述のように更新世のある時期まで,南流して瀬戸内海へ注いでいたとされているが,加久藤テフラ(Kkt)が降灰したMIS9の時期でもなお南流していたと考えられる(小滝2022).福知山層堆積当時,この堆積盆には,東方からは丹波山地のチャート礫を供給する河川,北方からは苦鉄質岩礫などを供給する河川が流入し,排水は南方に向かっていたであろう.堆積盆の縁辺近くに位置した本地点では,浅い湖沼の時期,氾濫流が流入して湖沼を埋積する時期を繰り返して.福知山層を形成したと考えられる.
文献:福間敏夫・藤田和夫1986 第四紀研究,24,263-281.
Kotaki A., Katho S., Kitani K.2011 Quaternary International, 246,105-117.
小滝篤夫2022 地球科学,76,31-35.
Meyers et al. 1993 Quaternary Research, 39,154-162.
岡田篤正・高橋健一1969 地学雑誌,78,19-37.
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