Presentation Information
[G-P-47]Timing of initiation of the Rokugatsu fault, an active fault associated with the obstruction of Lake Nojiri-ko in Northern Nagano Prefecture
*Yoshihiro TAKESHITA1, Kazuki MAYAMA2, Yoichi KONDO3, Megumi SEKI3, Kuniaki HANAOKA, Geological Research Group for Nojiri-ko Excavation (1. Shinshu Univ., 2. Takayama Junior High School, 3. Nojiriko Naumann Elephant Museum)
Keywords:
active fault,timing of initiation,Rokugatsu fault,Lake Nojiri-ko,obstruction
野尻湖(標高657m)の西側には標高660~730mほどの北東-南西に細長い仲町・貫ノ木丘陵があり,さらにその西側には標高650m程度の池尻川低地が広がっている.中田・今泉編(2002)は,この丘陵と低地の間に活断層を推定しており,長森ほか(2003)の六月断層とほぼ一致する.六月断層の長さは約2km,北西側落ちで10m以上の落差があるとされるが,活動開始時期や総変位量などは不明である.そこで,六月断層の活動に関する諸特性を明らかにすることを目的として仲町・貫ノ木丘陵でボーリング調査を行い,長さ9mのコア試料(KM24コア)を採取した.本研究ではKM24コアの地質層序のほか,野尻湖底ボーリングコア(NJ88コア:野尻湖地質グループ,1990),池尻川低地のボーリングコア(IJ19,IJ20コア:竹下・渡辺,2024),野尻湖立が鼻遺跡の地質も用いて六月断層の活動について検討した結果,約10万年前には活動を開始していた可能性が高いことがわかった.
KM24コアの地質柱状図とテフラ対比を図1に示す.このコアは層相に基づき,7つのユニット(下位よりKM24A~G)に区分できる.KM24A(深度9.00~4.73m)は厚い火山灰火山礫層である.KM24B(深度4.73~3.68m)は主に灰褐色ローム層からなり,数枚のテフラ層が挟まれる.KM24C(深度3.68~3.44m)は主に明灰褐色ローム層からなり,1枚のテフラ層を挟む.KM24D(深度3.44~3.25m)はシルト層と砂質シルト層の互層からなる.KM24E(深度3.25~2.06m)は主に葉理の目立つシルト層からなり,最下部に2枚のテフラ層と最上部に亜角~亜円礫層が見られる.KM24F(深度2.06~0.25m)は褐色ローム層と多数のテフラ層からなる.KM24Gは(深度0.25m~地表)は耕土である.テフラ対比に基づくとKM24Aは大平火砕流堆積物Ⅰ~Ⅲ(石井・野尻湖地質グループ,1997)のいずれかに,KM24Bは信濃町ローム層(中村,1981)に,KM24Cは神山ローム層上部(野尻湖地質グループ,1984)に,KM24DとKM24Eはそれぞれ琵琶島沖層と貫ノ木シルト部層K1ユニット(野尻湖地質グループ,2004)に,KM24Fは野尻ローム層下部Ⅰ~Ⅲ(野尻湖地質グループ,1980)にそれぞれ相当する.
KM24コア掘削地点の東側にある野尻湖立が鼻遺跡で確認された泥流堆積物(野尻湖地質グループ,2018)と,西側にある池尻川低地の地下で確認された池尻川岩屑なだれ堆積物(竹下・渡辺,2024)は,KM24コア中に確認できなかった.両堆積物とも西方の黒姫火山起源と推定されているため,立が鼻遺跡の泥流堆積物が本コア中に確認できないことは,泥流堆積物が大平火砕流堆積物Ⅰ~Ⅲよりも古いことを示唆している.また,池尻川岩屑なだれ堆積物がKM24コア中に確認できないことは,この岩屑なだれの流下時には,仲町・貫ノ木丘陵が地形的障壁になっており,本コア掘削地点まで到達できなかった可能性が高い.池尻川岩屑なだれの発生は約6.8万年前と考えられるため(Kondo et al. 2018),丘陵を隆起させる六月断層の活動開始時期は,それ以前に遡ると考えられる.さらに野尻湖底で掘削されたNJ88コアでは野尻湖層の下位に泥炭層からなる琵琶島沖層が確認されており,約10万年前から堆積が始まったと考えられている(長橋・石山,2009).六月断層により隆起した仲町・貫ノ木丘陵が野尻湖の閉塞を担っているため,この泥炭層の堆積にも関与したと考えるのが自然である.したがって,六月断層は約10万年前にはその西側に泥炭層を堆積させるほどの変動をもたらしていた,すなわち活動を開始していたと考えられる.
引用文献:石井・野尻湖地質グループ(1997)野尻湖ナウ博報告,5,9-18.Kondo et al. (2018) Quat. Int., 471, 385-395. 長橋・石山(2009)野尻湖ナウ博報告,17,1-57.長森ほか(2003)戸隠地域の地質, 産総研地質調査総合センター.中村(1981)日本第四紀学会講演要旨集,11,84-85.中田・今泉編(2002)活断層詳細デジタルマップ,東京大学出版会.野尻湖地質グループ(1980)地質学論集,19,1-31.野尻湖地質グループ(1984)地団研専報,27,1-21.野尻湖地質グループ(1990)地団研専報,37,15-20.野尻湖地質グループ(2004)野尻湖ナウ博報告,12,1-13.野尻湖地質グループ(2018)野尻湖ナウ博報告,26,9-19.竹下・渡辺(2024)野尻湖ナウ博報告,32,11-24.※野尻湖ナウマンゾウ博物館研究報告を野尻湖ナウ博報告と省略.
KM24コアの地質柱状図とテフラ対比を図1に示す.このコアは層相に基づき,7つのユニット(下位よりKM24A~G)に区分できる.KM24A(深度9.00~4.73m)は厚い火山灰火山礫層である.KM24B(深度4.73~3.68m)は主に灰褐色ローム層からなり,数枚のテフラ層が挟まれる.KM24C(深度3.68~3.44m)は主に明灰褐色ローム層からなり,1枚のテフラ層を挟む.KM24D(深度3.44~3.25m)はシルト層と砂質シルト層の互層からなる.KM24E(深度3.25~2.06m)は主に葉理の目立つシルト層からなり,最下部に2枚のテフラ層と最上部に亜角~亜円礫層が見られる.KM24F(深度2.06~0.25m)は褐色ローム層と多数のテフラ層からなる.KM24Gは(深度0.25m~地表)は耕土である.テフラ対比に基づくとKM24Aは大平火砕流堆積物Ⅰ~Ⅲ(石井・野尻湖地質グループ,1997)のいずれかに,KM24Bは信濃町ローム層(中村,1981)に,KM24Cは神山ローム層上部(野尻湖地質グループ,1984)に,KM24DとKM24Eはそれぞれ琵琶島沖層と貫ノ木シルト部層K1ユニット(野尻湖地質グループ,2004)に,KM24Fは野尻ローム層下部Ⅰ~Ⅲ(野尻湖地質グループ,1980)にそれぞれ相当する.
KM24コア掘削地点の東側にある野尻湖立が鼻遺跡で確認された泥流堆積物(野尻湖地質グループ,2018)と,西側にある池尻川低地の地下で確認された池尻川岩屑なだれ堆積物(竹下・渡辺,2024)は,KM24コア中に確認できなかった.両堆積物とも西方の黒姫火山起源と推定されているため,立が鼻遺跡の泥流堆積物が本コア中に確認できないことは,泥流堆積物が大平火砕流堆積物Ⅰ~Ⅲよりも古いことを示唆している.また,池尻川岩屑なだれ堆積物がKM24コア中に確認できないことは,この岩屑なだれの流下時には,仲町・貫ノ木丘陵が地形的障壁になっており,本コア掘削地点まで到達できなかった可能性が高い.池尻川岩屑なだれの発生は約6.8万年前と考えられるため(Kondo et al. 2018),丘陵を隆起させる六月断層の活動開始時期は,それ以前に遡ると考えられる.さらに野尻湖底で掘削されたNJ88コアでは野尻湖層の下位に泥炭層からなる琵琶島沖層が確認されており,約10万年前から堆積が始まったと考えられている(長橋・石山,2009).六月断層により隆起した仲町・貫ノ木丘陵が野尻湖の閉塞を担っているため,この泥炭層の堆積にも関与したと考えるのが自然である.したがって,六月断層は約10万年前にはその西側に泥炭層を堆積させるほどの変動をもたらしていた,すなわち活動を開始していたと考えられる.
引用文献:石井・野尻湖地質グループ(1997)野尻湖ナウ博報告,5,9-18.Kondo et al. (2018) Quat. Int., 471, 385-395. 長橋・石山(2009)野尻湖ナウ博報告,17,1-57.長森ほか(2003)戸隠地域の地質, 産総研地質調査総合センター.中村(1981)日本第四紀学会講演要旨集,11,84-85.中田・今泉編(2002)活断層詳細デジタルマップ,東京大学出版会.野尻湖地質グループ(1980)地質学論集,19,1-31.野尻湖地質グループ(1984)地団研専報,27,1-21.野尻湖地質グループ(1990)地団研専報,37,15-20.野尻湖地質グループ(2004)野尻湖ナウ博報告,12,1-13.野尻湖地質グループ(2018)野尻湖ナウ博報告,26,9-19.竹下・渡辺(2024)野尻湖ナウ博報告,32,11-24.※野尻湖ナウマンゾウ博物館研究報告を野尻湖ナウ博報告と省略.
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