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[11教-ポ-33]被叱責経験が評価懸念に及ぼす影響学校生活場面と部活動場面に着目して

*Takashi Kado1, Wakana Maeda2, Hayato Toyoda3,4, Shun Iizuka1 (1. Yamanashi Gakuin Univ., 2. Graduate School of Education, Univ. of Yamanashi, 3. Integrated Graduate School of Medicine, Engineering, and Agricultural Sciences, Univ. of Yamanashi, 4. JSPS Research Fellow)
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スポーツ庁(2018)や文化庁(2018)の取組により、昨今では学校教育場面での体罰発生件数は減少傾向にある反面、言葉の暴力が顕在化している。他方、明らかな暴言に至らずとも、教師・指導者の否定的な言葉かけは子供のやる気を低下させ(大道, 2002)、指導者からの過度な叱責のレベルでは子供の心身に悪影響をもたらす可能性がある。本研究では、そうした否定的側面の一端を対人不安に関する評価懸念の観点で捉え、学校生活場面および部活動場面での被叱責経験と評価懸念の関連性を検討することを目的とした。高校生1530名(M=16.18,SD=0.89)を分析対象とした。フェイスシート項目、予備調査から生成した学校生活と部活動各2場面の中学時代における被叱責経験とそれに対する納得度、評価懸念尺度(山本・田上, 2001)に回答を求めた。被叱責経験とそれに対する納得度の関連を運動部と文化部に分けて検討した結果、運動部と文化部に共通して、校則やルールに関する学校生活での叱責は納得度と負の相関、自身の素行に関する部活動での叱責は納得度と正の相関であった。各被叱責経験を独立変数、評価懸念得点を従属変数とした重回帰分析の結果、運動部に限定して、評価懸念に対して、練習態度やプレーに関する部活動での叱責が正の影響を示し、自身の素行に関する学校生活での叱責は負の影響を示した。以上より、叱責と評価懸念の関連性は運動部で顕著に見られること、そして、他者評価に関する懸念は学校生活と部活動の状況により異なる様相で表出することが示唆された。一般的に子供の価値規範が否定されるような叱責はそれを受容するに相応の根拠が求められ(永田, 2005)、経験則的な厳しい叱責はしばしば暴言として受け止められる(亀井・岡本, 2021)。今後は、叱責と暴言の両面から評価懸念の特徴を捉える必要がある。

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