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[09方-ポ-03]運動部活動指導者―生徒間における指導の認識の相違
*RINA TAKIGAWA1, TASUKU SAKAI2, ISAMU MITABE3, YOSUKE SAKAIRI4 (1. Sanwa East Junior High School, 2. Graduate School, University of Tsukuba , 3. University of Tsukuba, 4. Tokoha University)
本研究の目的は、運動部活動指導者による指導行動の自己評価(以下、指導者の自己評価)と、生徒による運動部活動指導者の指導行動の評価(以下、生徒による評価)を測定し、双方の関係性を検討することであった。本研究では、中学1、2年生の生徒1336名(男性:768人、女性:545人、回答しない23人)、指導者115名(男性:38人、女性:77人、36.1±11.0歳)を対象に、横断的調査を実施した。測定項目は、指導者の変数として、性別、年齢、部活動への参加度合い、運動部活動経験の有無、指導者の自己評価を測定する質問項目を、生徒の変数として、学年、性別、指導者の指導法(トップダウン:顧問の先生の指示や決まりを大切にしている/ボトムアップ:選手が自ら取り組む姿勢を大切にしている)、生徒による評価を測定する質問項目を用いた。指導者と生徒双方のデータを取得した69部活動750名を分析対象とし、指導者の自己評価と、生徒による評価の関係性について検討した。生徒による評価を目的変数、指導者の自己評価を独立変数とした単回帰分析を行った結果、負の関連性(β=-.36、 p<.01)が確認された。この結果は、指導者の自己評価が高いほど、生徒による評価が低いことを示しており、指導者と生徒の間には、指導に関する認識の相違が生じていることが示唆された。この認識の相違を調整する変数を探索的に検討するために、階層的重回帰分析を行った。その結果、指導者の自己評価×指導者の指導法の交互作用が有意であり、指導者の指導法がトップダウンであると認識している群では、指導に関する認識の相違が認められた一方で(β=-.40、 p<.01)、ボトムアップと認識している群では、有意な関連が認められなかった(β=.16、 ns)。そのため、中学校運動部活動におけるボトムアップ的指導は、生徒と指導者の認識の相違を緩衝する可能性がある。
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